外国人材の受け入れで社内がギクシャクしないために|社長と現場の温度差

外国人材の受け入れで社内がギクシャクしないために|社長と現場の温度差

外国人を採用しようと決めるのは、たいてい社長です。
人手不足を数字で見て、紹介会社の説明を聞き、採用を判断する。

一方で、実際に仕事を教え、質問に答え、入社後の数か月を支えるのは現場の社員です。

決める人と、日々の負担を引き受ける人が違う。ここに、受け入れ前の温度差が生まれます。


では、現場は何を不安に感じているのでしょうか。
厚生労働省の最新の「令和6年外国人雇用実態調査」では、外国人雇用の課題として「日本語能力等のためにコミュニケーションが取りにくい」が43.9%で最多でした。


だからこそ、理念だけで「大丈夫」と説得するのではなく、誰が教えるのか、1日・1週間で何分程度の負担が増えるのか、いつまで支援するのかを受け入れ前に決めておくことが重要です。
現場の不安を具体的な役割と数字に置き換えることで、社長と現場が同じ前提で外国人材の受け入れを考えられるようになります。


G-Star HR Link株式会社は静岡県浜松市を拠点に、外国人材の紹介・受入れを支援。
ネパール現地の日本語学校と日本の登録支援機関を運営し、自社でも外国人スタッフを雇用しています。
受入れ側の実体験をもとに解説します。

現場の反対を「差別」と決めつける前に、業務負担への不安を確認する

会議室で資料を広げる日本人の社長と、距離を置いて腕を組む日本人の現場責任者。外国人受け入れをめぐる社内の温度差

合意形成がうまく進む会社と、つまずく会社の違いは、経営者の熱量ではありません。最初の行き違いは、たいてい「反対の中身をどう受け止めたか」で生まれます。

「反対されている」と受け取った瞬間、本当の理由が見えなくなる

現場責任者が渋い顔をしたとき、それを「外国人への偏見だ」と決めつけると、その先の会話は続きません。

相手も「そんなつもりはない」としか言えなくなり、本当に気にしていたことを話せないまま黙ってしまいます。

反対が消えたのではなく、表に出なくなっただけです。そして配属後、「聞いていた話と違う」という形で問題になることがあります。


実際に出てくるのは、「今でも手が足りないのに、教える時間はどこから出すのか」「質問に答えられる自信がない」「事故が起きたら誰が責任を取るのか」といった声です。
これらは業務設計で整理できる問題です。


一方、国籍を理由に差別的な取扱いをすることは認められません。
厚生労働省の「外国人雇用管理指針」でも、募集・採用時に国籍による差別的な条件を付さないことなどが示されています。

この記事が向き合うのは、その線を明確に引いたうえで残る「業務量への不安」です。

公的な調査でも、課題の中心は「能力」より「伝わりにくさ」

受け入れ側が外国人材の雇用で何を課題と感じているのかは、厚生労働省の調査から確認できます。

厚生労働省「令和6年外国人雇用実態調査」(令和6年9月30日現在の状況を調査、令和7年8月29日公表)では、外国人労働者を雇用する事業所に複数回答で課題を尋ねています。

外国人労働者の雇用に関する課題(複数回答・主な項目)

事業所計

建設業

製造業

医療、福祉

日本語能力等のためにコミュニケーションが取りにくい

43.9%

45.3%

57.8%

45.3%

在留資格申請等の事務負担が面倒・煩雑

24.7%

33.2%

24.6%

24.9%

文化、価値観、生活習慣等の違いによるトラブルがある

20.9%

17.2%

22.6%

18.7%

受け入れた職場での負担が大きい

14.1%

20.6%

12.5%

22.5%

期待したほどの能力を発揮できない

7.1%

7.2%

6.3%

8.4%

特にない

17.4%

12.7%

13.3%

10.8%

出典: 厚生労働省「令和6年外国人雇用実態調査の概況」第10表より主な項目を抜粋。

最多だったのは「日本語能力等のためにコミュニケーションが取りにくい」で43.9%。
製造業では57.8%、建設業と医療・福祉では45.3%でした。
次いで「在留資格申請等の事務負担が面倒・煩雑」が24.7%、「文化、価値観、生活習慣等の違いによるトラブル」が20.9%と続きます。


一方、「期待したほどの能力を発揮できない」は7.1%。
能力そのものより、意思疎通や手続き、職場への適応に課題を感じる事業所が多いことが分かります。



今回の記事で特に注目したいのが、「受け入れた職場での負担が大きい」という回答です。
全体では14.1%ですが、建設業20.6%、医療・福祉22.5%、宿泊業・飲食サービス業17.1%(表では省略)と、業種によって差があります。

これは、外国人材を受け入れる際に、仕事を教える、質問に答える、生活面をフォローするといった現場の負担が実際に発生することを示しています。


ただし、この調査に「日本人社員が外国人採用に反対している」という選択肢はありません。
公的調査が捉えているのは、感情的な賛否ではなく、外国人材の雇用によって職場で何が課題になっているのかです。

だからこそ、受け入れを進めるときは「現場の理解が足りない」と片付けるのではなく、どの業務に、どれだけの負担が発生するのかを具体的に見える化することが重要です。

負担が特定の1人に寄る、という構造がある

厚労省によると、令和7年10月末の外国人労働者は257万1,037人、雇用事業所は37万1,215所で過去最多。
30人未満の事業所で働く外国人労働者が36.1%です(出典: 厚生労働省「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ(令和7年10月末時点)」)。

こうした規模の事業所では、教育専任者を置くのが難しく、「面倒見のいいベテラン」に教育が集中するケースもあります。

その人が断らないからこそ、教える時間や質問に対応する時間が見えないまま積み上がり、半年後に「もう無理です」となる。
現場の反対は、外国人そのものへの拒否感ではなく、見えていなかった工数への反応かもしれません。

逆に、役割と時間をあらかじめ決めている会社では、外国人材の人数が多くても受け入れが回ります。

当社が関わる企業にも、従業員約200人のうち120人ほどが外国人という会社があります。

トラブルがゼロになるわけではありませんが、国籍にかかわらず起こる問題として対応できています。
大切なのは「誰かが頑張る」仕組みではなく、負担を最初から見える化することです。

温度差が生まれる3つの構造

「温度差」は、誰かの意識や姿勢だけが原因で生まれるものではありません。
受け入れの進め方に、ズレが生じやすい構造があります。

決める人と、負担を担う人が違う

紹介料や支援委託費、住居費は金額として見える一方、現場が負担する教育時間は見えにくいものです。

だからこそ、受け入れ前に「教育工数:初月○時間/担当○名」と時間も見積もり、経営側と共有しておきましょう(現金の費用は外国人材の受け入れ準備チェックリスト|住居・Wi-Fi・スマホの技適まで)。

情報が現場に届いていない

社長は現地の学校を訪問し、本人と話し、家族の事情まで把握していることがあります。

一方、現場が本人に会うのは配属初日が初めて。
同じ人材について持っている情報量が違えば、受け入れへの温度差が生まれるのは自然です。

しかも、この差は紹介会社の説明だけでは埋まりにくいものです。「真面目な人です」と伝えても、現場からすれば紹介する側の評価に聞こえます。

だからこそ、最後は経営者自身の言葉が重要です。

なぜ外国人採用を決めたのか、日本人採用にどこまで取り組んだのか、なぜこの人を選んだのか。そこを説明できれば、現場も受け入れの背景を理解しやすくなります。

立派な理念は必要ありません。
当社のセミナー後、ある20代の事業者から「安く雇って利益を出すのではなく、きちんと給料を払い、母国の家族にも送金してもらえる採用にしたい」と聞きました。
こうした具体的な思いこそ現場に届きます。

「人手が足りないから」だけでは、教える時間を引き受ける理由にはなりません。

本人がどんな思いで来日するのかも含め、配属前に共有しておきましょう(人物像の理解にはネパール人の国民性と性格|数百人と面談してきた紹介会社が見た実像ネパール人は本当に辞めにくいのか|送金責任と借金構造から考える定着)。

③負担が評価に反映されない

3つ目は、教育担当者の負担が評価や処遇に反映されないことです。
1人目なら善意で回っても、2人目、3人目と続けば「なぜ自分ばかり」と不満が生まれます。

ここで参考になるのが、厚生労働省の「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」です。

指針では、外国人労働者が納得して働けるよう、求める資質・能力の明確化や、評価・賃金決定、配置など人事管理の透明性・公正性を確保するよう求めています。

これは外国人労働者向けの指針ですが、実務では「教える側」の負担を考えるきっかけにもなります。

「何を、どこまでできれば一人前なのか」が曖昧な職場では、教育担当者の仕事に終わりが見えません。
到達点を明確にすれば、教育期間や担当者の役割も設計しやすくなります。


さらに指針は、事業主に対し、日本人労働者と外国人労働者が文化や慣習などの多様性を理解しながら共に働けるよう努めることも求めています。
つまり、受け入れを外国人本人だけの問題にせず、職場全体で理解を進めることも雇用管理の一部です。


社内の合意形成は単なる「社風」の問題ではありません。
受け入れ前に役割、教育期間、評価基準を決め、現場にも共有する。
これが、教育担当者に負担を集中させないための実務です(出典: 厚生労働省「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」平成19年厚生労働省告示第276号、令和8年5月29日告示第227号による改正を反映)。

構造

現場で起きること

手当ての置き場所

決めた人と負担する人が違う

費用は稟議に載る一方、教育時間は見えにくい

受け入れの稟議書に「教育工数」の行を設ける

情報が現場に届かない

社長は本人を知っているが、現場は配属初日に初めて会う

採用理由や本人の背景を、経営者が自分の言葉で事前に共有する

負担が評価に反映されない

面倒見のよい1人に集中し、2人目以降で不満につながる

教育担当を明示し、到達点(社員像)と教育期間を決める

注:分類と対策は、当社の外国人材受け入れ支援の実務をもとに整理したもの。
3行目は、厚生労働省「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」第四の五1「適切な人事管理」にある社員像の明確化や、人事管理の透明化等の考え方を踏まえている。

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受け入れ前に決めておく|「誰が・何分・いつまで」を数字にする

ホワイトボードの前で教育担当と時間配分を書き出す日本人のチーム。受け入れ前の合意形成の場面

「みんなで教える」「忙しくなりそう」といった曖昧な状態のまま受け入れると、負担は一部の社員に集中します。

逆に、担当者・教育時間・到達時期まで数字にして共有すれば、現場は自分の仕事がどう変わるのかを具体的にイメージできます。
ここから、3つを順番に決めていきます。

誰が教えるか|「みんなで見てあげて」は、結局1人に偏る

よくある失敗が、教育担当を決めないまま配属することです。

「みんなで見てあげて」では、誰が最終的に教えるのかが曖昧になり、面倒見のよい人に負担が集中しがちです。


体制は2階建てで考えます。
1階は会社側の管理責任者です。
外国人労働者を常時10人以上雇用する事業主には、外国人雇用管理指針に基づき、人事課長などを「雇用労務責任者」として選任することが求められています。
10人未満でも、在留資格や雇用管理、相談対応などの窓口を社内で決めておくと、現場への事務負担を抑えやすくなります。

2階が現場のOJT担当です。
こちらは1人に固定せず、工程や曜日などで複数人に分担するのがおすすめです。
誰が、何を、どこまで教えるのかを決めておけば、担当者の休みで教育が止まることも防げます。

人選では「教えるのが上手い人」だけでなく、分からないことを確認できる人、周囲に相談できる人も重要です。

何分増えるか|教育担当の負担を先に数字にする

担当者を決めたら、次は「その人の仕事が何分増えるのか」を受け入れ前に見積もります。

正確な数字を当てることが目的ではありません。
最初に基準を置くことで、現場が「仕事が無限に増えるのでは」と不安になるのを防ぐためです。

例えば、最初の1か月は1日30分、2〜3か月目は15分、4か月目以降は日本人の新人と同程度、といった形で想定します。

あわせて、その時間を残業ではなく生産計画の中でどう確保するかまで決めておきます

配属後は実際の教育時間を測り、想定との差を確認します。
1人目の実測値があれば、2人目以降は「大変そう」という感覚ではなく、実際の工数をもとに受け入れ体制を組めます。

いつまでか|3か月後・6か月後の到達点を決める

教育担当の負担を軽くするには、「いつまで教えるのか」も先に決めておくことが重要です。

3か月後、6か月後に何ができる状態を目指すのかを、「1人で○○の工程を担当できる」のように具体的な作業名で書き出します。

これは前章で触れた「社員像の明確化」を実務に落とし込む作業でもあります。

日本人の新人教育にも使えるため、外国人材だけの特別な仕組みにする必要はありません。
到達点が見えれば、現場も「いつまで教え続けるのか」という不安を減らせます。

配属後の負担を減らす小さな仕組み

作業台で手順書を指さしながら教える日本人の先輩と、南アジア出身の新人スタッフ

初日を設計する|「誰に聞けばいいか」を最初に伝える

初日に優先したいのは、細かな作業手順より「困ったときに誰に聞けばいいか」を明確にすることです。

外国人雇用管理指針でも、母国語等による導入研修の実施など、働きやすい職場環境の整備が事業主に求められています。

まず、相談相手の名前・顔・場所、トイレや休憩・食事・更衣のルール、緊急時の連絡先、禁止事項を伝えます。
業務手順は後から補足できますが、質問できる相手が分からない状態は早めに解消したいところです。

同時に現場にも、配属前に本人の情報を共有します。
誰が来るのか、最初の1か月は何を担当するのか、いつ頃から通常業務を任せるのか。
当日の朝に突然「今日から来ます」と伝えるのではなく、受け入れる側にも準備する時間をつくることが、現場の不安を減らします。

翻訳は「危ないところから」、しかも全部を訳す必要はない

外国人材の受け入れで、最初からすべての資料を多言語化する必要はありません。

優先したいのは、けがにつながる安全衛生、品質事故、給与・在留資格など生活や身分に関わる情報です(詳細は受け入れ準備のチェックリスト)。

外国人雇用管理指針は、安全衛生教育について、母国語等や視聴覚教材など、本人が内容を理解できる方法で行うことを求めています。

また、労災防止の標識・掲示も、図解等を用いて理解しやすくするよう努めることとされています。


国の目標も明確です。
第14次労働災害防止計画では、2027年までに、外国人労働者に分かりやすい方法で労災防止教育を行う事業場の割合を50%以上とすること、外国人労働者の死傷年千人率を全労働者の平均以下にすることを掲げています。
2024年の教育実施率は60.4%まで上昇した一方、死傷年千人率は2.71で、全労働者の2.35を上回っています。

そして「多言語化」は、外国語への翻訳だけではありません。
出入国在留管理庁と文化庁が2020年8月に作成した「在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン」は、その背景として、現場で使う言語や、外国人労働者にも分かりやすい「やさしい日本語」で伝える方法もあります。

出入国在留管理庁・文化庁のガイドラインでも、日本語を「日常生活に困らない言語」とした外国人は約63%、「希望する情報発信言語」に「やさしい日本語」を選んだ人は76%でした。

最大の利点は現場の人が自分で書けること。翻訳会社に依頼する場合、工程が変わると更新が止まる可能性があります(詳細は製造業の外国人採用|在留資格3種の現実解と定着の設計)。


翻訳するなら、まず「事故につながる情報」から。
すべてを完璧に訳すより、現場で確実に伝わる仕組みを優先することが重要です。

通訳を挟んだ面談と、相談先を2つ用意する

同じ調査の労働者調査には、もう一つ見逃せない数字があります。
今の会社で働く上で「トラブルや困ったことがある」と答えた人は10.9%で、令和5年の14.4%から減少しています。

その中で2番目に多かったのが「トラブルや困ったことをどこに相談すればよいかわからなかった」で14.9%でした。


つまり、問題はトラブルの多さだけではなく、「困ったときの行き先が分からないこと」にもあります。
外国人雇用管理指針も、相談窓口を設けるなど、相談に対応できる体制の整備を求めています。


実務では、相談先を最低2つ用意し、そのうち一つは直属の上司以外にするのがおすすめです。
定期面談では、必要に応じて通訳を入れるのも有効です。日本語では「大丈夫です」と答えていても、母語なら別の悩みが出てくることがあります。

相談経路を一つに絞らないことは、本人のためだけでなく、教育担当者に小さな問題が集中するのを防ぐ意味でも重要です。
職場の外の居場所づくりは外国人材が定着する会社の共通点|孤立を防ぐ「職場の外」の居場所づくりで詳しく書きました。
当社も浜松で月1回のネパール人交流会を開いています。

費用は一部戻せる。無料で相談できる公的窓口もある

受け入れ体制の整備には費用がかかりますが、活用できる助成制度があります。
厚生労働省の「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)」は1制度の導入につき20万円、上限80万円です。
必須の「雇用労務責任者の選任」「就業規則等の多言語化」に加え、「苦情・相談体制」「一時帰国のための休暇制度」「社内マニュアル・標識類等の多言語化」から1つ以上を導入します。
外国人労働者の離職率15%以下など、ほかにも受給要件があります。


注意したいのは、先に就労環境整備計画を提出し、認定を受けること

計画前に実施した費用は対象にならないため、順番を間違えないことが重要です。

また、特定技能外国人を雇用している、または雇用しようとする事業所では、既に求められている相談対応と重複するため、「苦情・相談体制の整備」は選択できません。
残る「一時帰国のための休暇制度」または「社内マニュアル・標識類等の多言語化」を選びます。


費用をかけずに相談したいなら、厚生労働省の「外国人雇用管理アドバイザー」も利用できます。
外国人雇用の雇用管理や職場教育について専門的な相談・指導を受けられ、相談料は無料。最寄りのハローワークに申し込むと、事業所への訪問相談などにつなげてもらえます。

よくある質問(FAQ)

Q1. 現場から「日本語が通じないなら採らないでほしい」と言われています。どう答えればいいですか?

A.「日本語ができるか」ではなく、「業務に必要な日本語が使えるか」で判断してください。
厚生労働省の「令和6年外国人雇用実態調査」でも、「日本語能力等のためにコミュニケーションが取りにくい」は43.9%で、受け入れ側の最多の課題です。
だからこそ、日本語力を一括りにせず、安全に関わる指示を理解できるか、報告できるか、分からないときに質問できるか、という業務単位で必要な水準を決めます。
そのうえで、図解ややさしい日本語の手順書などを組み合わせれば、現場の負担も具体的に管理できます(ネパール人材の面接で見るべきポイント|「夢を聞く面接」が機能しない理由)。

Q2. 教育担当に手当を出すべきでしょうか?

A. 手当は必須ではありませんが、教育の負担を評価や業務として明確にすることが重要です。
手当のほか、教育時間を業務として計上する、評価面談で役割を確認する、担当者を正式に任命する方法もあります。
外国人雇用管理指針も、評価・賃金決定など人事管理の透明性・公正性を求めています。

Q3. 受け入れを決めたあと、現場の反対が強くて進みません。延期すべきでしょうか?

A. まず延期ではなく、反対の理由を「業務量」と「雇用条件」に分けて整理しましょう。
業務量なら、「誰が・何分・いつまで」を決めることで具体的な対策ができます。賃金や配置、キャリアへの不安なら、受け入れ体制ではなく雇用条件そのものを見直す必要があります。
育成就労では、一定の要件の下で本人の意向による転籍が認められるため、条件面の見直しは早めに行いましょう(育成就労の転籍ルールと人材流出リスク|分野別1年・2年の線引きから考える)。

まとめ

  • 現場の反対は、まず「業務量への不安」として受け止める
    「外国人だから反対」と決めつけると、本当に困っていることが言えなくなる。誰が教えるのか、どれくらい時間が増えるのかを具体化することが出発点。

  • 公的調査でも、課題の中心は「コミュニケーション」
    令和6年外国人雇用実態調査では、「日本語能力等のためにコミュニケーションが取りにくい」が43.9%で最多。「期待したほどの能力を発揮できない」は7.1%にとどまる。

  • 小規模事業所ほど、教育負担の偏りに注意が必要
    外国人を雇用する事業所の63.1%は従業員30人未満。専任担当を置きにくいため、教育やフォローが特定の社員に集中しない仕組みが重要。

  • 受け入れ前に、「誰が・何分・いつまで」を決める
    教育担当者を明確にし、1日あたりの教育時間と3か月後・6か月後の到達点まで示せば、現場が抱える「終わりの見えない負担」を具体的にできる。

  • 受け入れ後は、初日・安全教育・相談体制を先に整える
    「誰に聞けばよいか」を初日に伝え、危険に関わる手順からやさしい日本語や図解を活用。定期面談では必要に応じて通訳を入れ、相談先も複数用意。

  •  教育の負担は、個人の善意ではなく会社の仕組みにする
    教育工数を業務として見える化し、担当者の任命や評価にも反映できる状態をつくることで、外国人材の受け入れを一部の社員だけに背負わせない体制につながる。

  • 助成金や公的な相談窓口も活用できる
    外国人労働者の就労環境整備を対象とした助成制度や、無料で相談できる外国人雇用管理アドバイザー制度がある。制度を使えるか確認しながら、受け入れ体制を整えていくことが重要。


次に読むべき記事

反対ではなく、まだ情報が届いていないだけかもしれません

「うちの現場は保守的で」と考える前に、現場に必要な情報が届いているかを確認してみてください。
誰が来るのか、何を任せるのか、自分の仕事がどれくらい変わるのか。分からないまま賛否を求められれば、慎重になるのは当然です。


受け入れ前に「誰が・何分・いつまで」の3つを示すだけで、現場責任者がOJTを引き受けるケースもあります。

教育担当の決め方や工数の見積もり、現場の反対への向き合い方は、業種や人員構成によって変わります。

迷う点があれば、お気軽にお問い合わせください。
浜松で自社でも外国人スタッフを雇用し、登録支援機関として現場に立つ立場から、実務に沿ってご説明します。