
「偽装留学生」という言葉をニュースやSNSで見聞きしたことがあるかもしれません。
留学を名目に来日し、実際には就労が主目的になっている人を指す文脈で使われます。
採用現場では、その言葉への不安から留学生の応募をどう判断すべきか迷う企業もあります。
背景にあるのは、言葉ばかりが先行し、制度の構造が十分に理解されていないことです。
まず押さえたいのは2点です。
「偽装留学生」は法令用語ではないこと。
そして、2010年代後半と2026年では、留学生を取り巻く数字や制度が変わっていること。
なぜ「留学」が就労の入口として語られるようになったのかを制度から整理し、2026年現在、企業が応募段階で確認したい4つのポイントまで解説します。
ネパールに現地法人を持つG-Star HR Linkは、製造・建設・介護等の現場へ人材をご紹介する人材紹介会社です。
対応資格は技能実習・特定技能・高度人材。申請実務は提携行政書士が担当します(情報は2026年8月時点・数値は出典明記)。
「偽装留学生」とは何を指すのか|言葉の定義から整理する

実は法律に「偽装留学生」という言葉は出てこない
「偽装留学生」は、法律や省令などに定められた正式な用語ではありません。
法令データベースのe-Gov法令検索で調べても、この語を含む条文は1件も出てきません(出典: e-Gov法令検索、2026年8月時点)。
出入国在留管理庁が制度上の区分として使っている言葉でもなく、報道や解説などで、留学を本来の目的とせず就労などを主な目的として在留するケースを表す際に使われてきた言葉です。
そのため、「偽装留学生」に当たるかを一律に判定する法的な基準はありません。
企業が確認すべきなのは、この呼び名ではなく、在留資格、資格外活動許可の有無、実際の就学・活動状況、労働時間など、法令や制度に基づいて確認できる事実です。
「偽装留学生」という言葉の中身を整理
「偽装留学生」という言葉自体は法令上の用語ではありませんが、指している実態まで存在しないわけではありません。
一般に想定されているのは、在留資格「留学」で入国したものの、実際には学業よりも就労が主な目的になっている状態です。
ここで重要なのが、「留学」とアルバイトの関係です。
「留学」の在留資格で認められる活動は教育機関で学ぶことであり、収入を伴う活動は資格外活動に当たります。
そのため、アルバイトをするには原則として資格外活動許可が必要で、包括許可では原則週28時間以内とされています。
つまり、留学生は「勉学を本来の活動とし、その範囲内で一定の就労が認められる」という仕組みです。
この前提から外れ、就労が主で勉学が形骸化している状態を、「偽装留学生」という言葉が指していると考えると分かりやすいでしょう。
週28時間の数え方(起算日・掛け持ちの合算・長期休業中の例外)は留学生バイトの週28時間ルールに譲ります。
「偽装留学生」は本人だけで生まれる問題ではない
この問題は、本人だけに責任を負わせて説明できるものではありません。
日本で働けば稼げると勧誘し、仲介する業者、渡航費や学費の負担から就労を優先しやすくなる本人、留学生の受入れと在籍管理を担う学校、そして在留資格や就学状況を十分に確認せず採用する企業。
それぞれの立場が関係します。
実際、政府も近年、学校に対して入学時の勉学意思・能力の確認や在籍管理の徹底を求めています。
なぜこの構造が生まれたのか|「留学」が労働力の入口になった経緯

日本語学校に入る留学生には、法令上の日本語能力要件がない
日本語学校に入る留学生について、「法令上、日本語能力の要件がない」という説明には注意が必要です。
上陸許可基準省令(出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令)の「留学」の項第六号にあります。
六 申請人が本邦の大学若しくはこれに準ずる機関、高等専門学校、専修学校、各種学校又は設備及び編制に関して各種学校に準ずる教育機関において専ら日本語教育を受けようとする場合は、当該教育機関が告示日本語教育機関又は認定日本語教育機関であること(後略)
この号自体には、「N5以上」など具体的な日本語能力水準は記載されていません。
ただし現在は、出入国在留管理庁が「留学」の在留資格で日本語教育機関に入学する者について、勉学の意思・能力を確認するため、A1相当以上の日本語能力を確認する運用を行っています。
さらに、2026年5月の運用見直しにより、これまで認められていた150時間以上の日本語学習歴によるA1相当以上の立証は見直され、令和8年10月期生からは、試験の証明書または面接による確認が必須となります。
つまり、「法律の条文に具体的な日本語能力要件が書かれていない」ことと、「日本語能力を確認されない」ことは別の話です。
同じ省令でも、高校では「一年以上の日本語教育又は日本語による教育を受けていること」、専門学校等では「一年以上の日本語教育を受けた者」または「教育を受けるに足りる日本語能力を試験により証明された者」などが求められます。
一方、日本語教育機関のルートでは、法令の条文に具体的な日本語能力水準は置かれていません(出典: e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令」)。
日本語を学びに行くのだから、入学時点で高い日本語能力を求めない——そうした建て付けです。
ただし現在はA1相当以上の能力確認が必要となっています。
それでも、試験や実務経験などを入口の条件とする就労系の在留資格と比べ、制度上の入口が広かったことは、この構造を考えるうえで重要なポイントです(技能実習と特定技能の違い)。
法令に要件はなくても、日本語能力は審査で確認されていた
法令に具体的な要件がないことと、入管の審査で日本語能力を見ていなかったことは別です。
出入国在留管理庁は以前から、日本語教育機関に入学する人について、CEFRのA1相当以上の日本語能力を確認していました。
ただ、その立証方法は現在とは異なります。
入管庁は2026年の見直しに際し、従来は「150時間以上の日本語学習歴」をA1相当以上の能力の立証として認めていたと説明しています。
今後は、試験の証明書または面接による確認が必須となりました。
つまり、以前から日本語能力は見られていたものの、その確認方法が大きく変わったのです。(出入国在留管理庁「日本語教育機関に入学する者に係る運用の一部見直しについて」)
水準(A1相当以上)は以前からありましたが、その立証は「150時間以上の日本語学習歴」という書類でも認められていました。
学習歴の証明は現地教育機関に委ねられていたため、実質的な担保は送り出し側の質にも左右されます。
法令ではなく審査運用に置かれていたことが、構造の二段目です。
統計から見る、留学生をめぐる実態
時点 | 在留資格「留学」の在留者数(各年12月31日現在) | 不法残留者のうち「留学」(翌年1月1日現在) |
|---|---|---|
2016年末/2017年1月1日 | 277,331人 | 3,807人 |
2019年末/2020年1月1日 | 345,791人 | 5,543人 |
2021年末/2022年1月1日 | 207,830人 | 2,436人 |
2023年末/2024年1月1日 | 340,883人 | 2,288人 |
2025年末/2026年1月1日 | 464,784人 | 2,173人 |
出典: 在留者数は出入国在留管理庁「令和7年末現在における在留外国人数について」(2026年3月27日公表)ほか各年の同種公表資料、不法残留者数は出入国在留管理庁「本邦における不法残留者数について(令和8年1月1日現在)」(2026年3月27日公表)をもとに作成。不法残留者数の「在留資格」は不法残留となった時点に有していたもの。
数字を並べると、「留学」をめぐる語られ方と実態には、少し距離があることが見えてきます。
2021年末に207,830人まで減った「留学」の在留者数は、その後増加し、2025年末には464,784人と4年間で2.2倍になりました。全在留外国人4,125,395人の11.3%を占め、在留資格別では3位です。
一方、不法残留者のうち「留学」は、2020年1月1日の5,543人をピークに減少し、2026年1月1日には2,173人。ピークから約6割減っています。
68,488人いる不法残留者全体に占める割合も3.2%で、短期滞在41,607人、技能実習9,323人と比べても規模は小さいです。
さらに2025年の入管法違反事件18,442人のうち、主たる違反事由が「資格外活動」だったのは79人(0.4%)でした(出典: 出入国在留管理庁「令和7年における入管法違反事件について」、2026年3月27日公表)。
ただし、複数の違反事由がある場合は主たる事由だけで集計されるため、これをオーバーワーク全体の人数と見ることはできません。
ネパール人材の採用で知っておきたい、留学生の構成
2025年5月1日現在、日本語教育機関に在籍する留学生140,174人のうち、ネパール国籍は44,632人、31.8%で国籍別最多でした。
留学生全体でも、ネパールは100,239人、24.6%で中国に次ぐ2位です(出典: 日本学生支援機構「2025(令和7)年度外国人留学生在籍状況調査結果」、2026年5月29日公表)。
つまり、ネパール人材の採用では、留学生として日本にいる人材と出会う可能性が高いという背景があります(紹介会社の見極め方はネパール人材紹介会社の選び方)。
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2026年に何が変わったか|日本語教育機関の認定制度と在籍管理の厳格化
変化①:日本語学校そのものが、制度ごと入れ替わっている
留学生を受け入れられる日本語学校は、これまで「法務省告示で定められた機関(告示校)」でした。
これに対し、2024年4月1日から、文部科学大臣が認定する「認定日本語教育機関」の制度が始まりました。
根拠は「日本語教育の適正かつ確実な実施を図るための日本語教育機関の認定等に関する法律」(令和5年法律第41号)で、日本語教員も「登録日本語教員」という国家資格の制度に移行しています(出典: e-Gov法令検索)。
移行には期限があります。
既存の告示校が引き続き「留学」の在留資格で留学生を受け入れるには、令和10年度末までに認定を受ける必要があります。
令和11年4月開設課程から途切れなく受け入れる場合は、令和10年度1回目までの認定が必要です(出典: 文部科学省「認定日本語教育機関の認定申請等の手引き」、令和8年6月18日公開版)。
認定の回次 | 認定日 | 申請件数 | 認定された機関数 | 取り下げ件数 |
|---|---|---|---|---|
令和6年度1回目 | 2024年10月30日 | 72 | 22 | 36 |
令和6年度2回目 | 2025年3月31日 | 48 | 19 | 29 |
令和7年度1回目 | 2025年10月31日 | 74 | 23 | 51 |
令和7年度2回目 | 2026年4月30日 | 100 | 32 | 53 |
4回の合計 | — | 294 | 96 | 169 |
出典: 文部科学省「認定日本語教育機関の認定結果について」および同「認定日本語教育機関 認定結果概要」(2026年4月30日認定分まで)。同一機関が複数回申請した場合は各回で計上。申請数と認定・取下げの差は、不認定および継続審査です。
認定された機関は累計96機関(うち「留学」のための課程は93)。
一方、4回の申請では取下げも169件あり、認定に至らなかった機関が相当数あることが分かります(出典:文部科学省「認定日本語教育機関の認定結果」各回の認定結果をもとに作成)。
教育の質や在籍管理を担保できる機関へと制度を移していく方向性は明確です。
ただし現在は移行期間中で、告示校と認定日本語教育機関が併存しています。
変化②:在籍管理の中身が、数値で決められた
認定日本語教育機関認定基準(令和5年文部科学省令第40号)は、第30条で出席状況を的確に把握し、出席率が低い生徒を指導する体制の整備を、第32条で「留学」のための課程に生活指導・進路指導の担当者を置くことを求めています(出典: e-Gov法令検索「認定日本語教育機関認定基準」)。
具体的な基準は、出入国在留管理庁・文部科学省のガイドラインに示されています。
1か月の出席率が8割を下回った生徒には、8割以上になるまで改善指導を行い、その状況を記録します。
さらに5割を下回った場合は、指導に加え、資格外活動許可を受けていれば、その活動先の機関名を確認・記録することが求められます。
つまり、学校には生徒の出席状況だけでなく、一定の場合にはアルバイト先まで把握する役割が明確に置かれています。
さらに2026年4月からは、資格外活動許可の有無や活動先、活動内容、活動時間を3か月ごとに確認する運用も加わりました(留学生バイトの週28時間ルール)。
日本語教育機関の在籍管理は、従来より具体的な数値と確認項目によって管理される仕組みに変わっています(出典「出席管理及び在留継続支援体制に係る認定日本語教育機関の運営に関するガイドライン」(出入国在留管理庁・文部科学省総合教育政策局、令和6年4月12日策定))。
変化③:入口の日本語能力は「学習歴」から「試験か面接」へ
従来は、A1相当以上の日本語能力について「150時間以上の学習歴」で立証することが認められていました。
これが、日本語試験の証明書、または受け入れる日本語教育機関による面接での確認へと変わります。適用時期は申請の種類によって異なります。
在留資格変更・在留期間更新
2026年7月1日以降の申請から在留資格認定証明書交付申請
2026年10月以降に入学予定の学生に係る申請から
なお、一定の国・地域の国籍を持ち、外国の高等教育機関を卒業した人には立証を不要とする扱いがあります。ネパールはこの対象に含まれていないため、原則として試験または面接による確認が必要です(出典: 出入国在留管理庁「日本語教育機関に入学する者に係る運用の一部見直しについて」)。
2026年の見直しでも、変わっていないルール
今回の制度変更で、企業が留学生を雇うときの基本ルールまで変わったわけではありません。
押さえておきたいのは次の3点です。
週28時間の上限は変わっていない
資格外活動許可を受けた留学生のアルバイトは、原則として週28時間以内です。今回の制度変更で、この上限が増減したわけではありません。企業に新しい申請手続きが増えたわけではない
認定日本語教育機関の制度は学校側の仕組み、日本語能力の確認は入国・在留審査の仕組みです。
今回の見直しによって、留学生を雇う企業に新たな申請義務が追加されたわけではありません。外国人雇用状況の届出や不法就労助長罪の基本的な仕組みも変わっていない
企業に求められる外国人雇用状況の届出義務や、不法就労を助長した場合の処罰という基本的な枠組みは維持されています。
ただし、不法就労助長罪の法定刑は2027年4月1日から引き上げられます。(在留カードの確認方法と不法就労助長罪)
採用する企業の自衛策|応募段階で見る4つのこと

統計が示すとおり、留学生の大多数は制度の範囲内で働いています。
以下の4項目は応募者を選別するためではなく、企業が適法な雇用を確認し、不法就労助長のリスクを避けるための基本的な確認事項です。
①「日本語が話せる」「感じがいい」で採らない
日本語力と、働けるかどうかは別の話です。
面接で日本語が流暢でも、在留資格や資格外活動許可によって就労できる範囲は決まります。
だからこそ、面接の印象と法的な就労可否は切り離して確認してください。
2025年の雇用関係事犯は263件・310人で、このうち入管法の不法就労助長罪は253件・308人。
検挙された310人のうち200人は日本人でした(出典: 警察庁『令和7年における組織犯罪の情勢【確定値版】』)。
不法就労は働く本人だけの問題ではなく、雇用する側にも責任が及びます。
②在留カードと資格外活動許可を、その場で現物確認する
まず見るのは、在留カード表面の「就労制限の有無」欄と、裏面の「資格外活動許可」欄です。
留学生は「就労不可」となっていても、資格外活動許可があれば一定範囲で働けます。
「就労不可」の表示だけで判断せず、許可欄まで確認することが重要です。
カードの見方や偽造の見分け方、助長罪の条文解説は在留カードの確認方法と不法就労助長罪に。
あわせて在留期間の満了日も確認し、確認した日時や内容を記録しておきましょう。
後から適正な確認を行ったことを示す材料になります。
③在籍校と卒業予定を確認し、必要なら学校に問い合わせる
資格外活動許可は、「留学」の在留資格で在学していることを前提に利用するものです。
卒業・退学後も在留カードの券面が変わるとは限らないため、3月に卒業した元留学生が、4月以降も同じ感覚でアルバイトを続けてしまうといった事態には注意が必要です。
応募時に在籍校名・課程・卒業予定年月を確認し、卒業時期を記録しておきましょう。
判断に迷う場合は、本人の同意を得て学校に在籍状況を確認する方法もあります。
なお、入管庁の申請書類では、日本語教育機関を「適正校(クラスⅠ)」「適正校(クラスⅡ)」「通知を受けていない機関」に区分し、区分によって提出を求める資料が異なります(出典: 出入国在留管理庁「在留資格『留学』」)。
④掛け持ちと給与の受け取り方を、面談で聞いて書面に残す
資格外活動の包括許可では、勤務先ごとの労働時間が在留カードに記載されるわけではありません。
そのため、掛け持ちをしているか、他の勤務先で何時間働いているかは、カードを見ただけでは分かりません。週28時間を守れるかは、本人への確認が必要です。
詳細は留学生バイトの週28時間ルール|2026年に変わった管理義務と企業の実務にまとめています。
応募時には「ほかにアルバイトをしていますか」「週に何時間働いていますか」と確認し、回答を記録しておきましょう。
掛け持ちの確認方法や3か月ごとの資格外活動状況の確認については、本記事とは別に「留学生バイトの週28時間ルール|2026年に変わった管理義務と企業の実務」で詳しく説明します。
また、給与の受け取り方についても確認しておきたいところです。
手渡し自体が違法なのではありません。
問題なのは、勤務時間や給与を記録せず、実態を隠した働き方です。
「現金払いなら大丈夫」といった認識があれば、適切な給与処理と記録が必要であることを説明してください。
出席状況についても、「授業とシフトは無理なく両立できますか」と確認して構いません。
学業を守れる勤務条件を一緒に考える姿勢なら、応募者を疑う面談になりません。
判断に迷う場合は、採用前に専門家へ確認しましょう。
お気軽にお問い合わせからご連絡ください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 応募者が「偽装留学生」かどうかを、企業が見分けることはできますか?
A. 「偽装留学生」かどうかを企業が判定する必要はありません。
法令上の基準がないため、在留カード、資格外活動許可、実際の労働時間を確認し、この人をこの条件で適法に雇えるかだけを判断します。
動機ではなく、確認できる事実を見ることが実務の基本です。
Q2. そもそも留学生を採用すること自体に、リスクがあるのでしょうか?
A. 留学生を採用すること自体が高リスクというわけではありません。
不法残留者全体に占める「留学」は2,173人・3.2%です。
大切なのは留学生だから避けることではなく、在留資格や資格外活動許可、労働時間をきちんと確認すること。
確認を省略すれば、統計とは別に企業側のリスクは残ります。
Q3. 在籍校が認定日本語教育機関になっていない場合、いま雇っている留学生に影響はありますか?
A. 現時点で、在籍校がまだ認定日本語教育機関になっていないことだけを理由に、在学中の留学生が直ちに働けなくなるわけではありません。
移行期間中は、告示日本語教育機関でも留学生を受け入れられます。
ただし、既存校には認定取得に向けた期限があります。
企業としては、現在の在留資格だけでなく、学校が今後も認定を受けて運営を続けられるかも確認しておくと安心です。
Q4. 「学生なのに働きすぎではないか」と感じたとき、企業はどう関わればよいですか?
A. まず自社のシフトを確認し、そのうえで本人と話しましょう。
週28時間はすべての勤務先の合計で判断されるため、自社だけで適正でも、掛け持ちを含めて超えていれば企業側も不法就労助長のリスクがあります。
本人にも在留期間の更新などへの影響があり得るため、「ルールを守ることが、あなたの在留やキャリアを守ることにつながる」と伝えるとよいでしょう。
まとめ
「偽装留学生」は法令用語ではない
「偽装留学生」は法令に定められた資格や区分ではなく、該当・非該当を判断する基準もない。
企業が見るべきなのは言葉ではなく、在留資格、資格外活動許可、実際の労働時間。構造の起点は、日本語学校ルートの入口にある
上陸許可基準省令の「留学」の項第六号には、日本語教育機関に入る本人の具体的な日本語能力水準は定められていない。
従来はA1相当以上の立証を「150時間以上の日本語学習歴」で行うことが認められていた。語られ方と統計は、必ずしも一致しない
「留学」の在留者は2021年末の207,830人から2025年末の464,784人へ4年間で2.2倍に。一方、不法残留者のうち「留学」は2020年1月1日の5,543人から2026年1月1日の2,173人へ約6割減。2026年は、学校と入口の管理が変わった
大きな変化は、①認定日本語教育機関への移行、②出席率8割・5割を基準とした在籍管理、③日本語能力の立証方法が「150時間の学習歴」から「試験または面接」へ変わった。
一方、週28時間の上限や企業の基本的な雇用手続きは変わっていない。企業がやるべきことは、4つに絞れる
①面接の印象だけで採用しない、②在留カードと資格外活動許可を現物確認する、③在籍校と卒業予定を確認する、④掛け持ちの有無や勤務時間を確認し、記録に残す。
「偽装留学生」を見抜くのではなく、適法に働ける人かを事実で確認することが、自社を守る一番の方法。
次に読むべき記事:
構造を知っておくことが、いちばん誠実な受け入れ準備になります
制度や摘発の話が続いたので、「留学生の採用は面倒そうだ」と感じたかもしれません。
ただ、伝えたかったのはむしろ逆です。
「偽装留学生」という強い言葉だけで判断すると、目の前の一人を見る視点を狭めてしまいます。構造を知れば、企業が確認すべきことは意外とシンプルです。
在留カードを確認し、在籍校と卒業予定を控え、掛け持ちの有無を聞き、その内容を記録する。
大切なのは、応募者を疑うことではなく、企業自身が判断を誤らないための確認手順を持つことです。
私たちも、現場では確認を丁寧に行う企業ほど、採用後の行き違いを減らしやすいと感じています。
とはいえ、「この人は雇えるのか」という判断は、初めてなら迷うものです。
ネパールでの教育から日本での人材紹介・定着支援まで携わってきた立場から、状況整理のお手伝いもできます。
迷ったまま採否を決めるより、まず事実を一つ確認する。そのほうが、結果的に早く、安心して採用を進められます。