
「育成就労」という言葉を、この1年で耳にする機会が増えたのではないでしょうか。
技能実習が廃止されるらしい、2027年から新しい制度に変わるらしい——そう耳にしながらも、自社の業種は対象なのか、いつまでに何を準備すべきか、技能実習と何が違うのかが掴めない。
インターネットで調べても「2026年施行」と「2027年施行」の情報が錯綜し、かえって混乱してしまう。制度名は知っていても全貌が見えてこないのが、多くの企業におけるリアルな現在地かと思います。
本稿では、育成就労制度の全体像を「①開始時期」「②対象分野」「③受入れ上限」「④企業の事前準備」「⑤対象国」という5つの軸に絞り、出入国在留管理庁・厚生労働省・外国人技能実習機構の公表資料に即して正確に解説します。
結論から申し上げますと、制度の全面施行は「2027年4月1日」です。しかし、企業にとっての実質的なスタート地点はもっと手前に位置しており、「2026年9月1日」から育成就労計画の認定申請(事前申請)受付が開始されます。
この記事に記した日付や数値は、すべて省庁の公式一次資料にあたり検証いたしました。
これほど正確性にこだわるには明確な理由があります。
筆者であるG-Star HR Link代表の岡本は、ベトナムで外国人材事業と日本語学校を立ち上げた後、帰国して監理団体を設立し、技能実習生事業を推進してきました。
これから発展的に解消される技能実習制度を、自ら監理団体を運営する当事者として内側から見つめ続けてきた立場です。
法制度の日付や受入れ人数を1つ見誤るだけでも、企業の採用計画は大きな狂いを生じます。
だからこそ本稿では、「確定していること」と「未確定のこと」を明確に切り分けて記述します。
当社はネパール現地に自社の日本語学校とトレーニングセンターを保有し、日本企業の採用を支援しています。
なお、在留資格や申請手続きに関する記述は、当社のビザ申請業務を担当する行政書士の監修を受けております(※情報は2026年7月時点のものです)。
育成就労制度とは何か

目的が「国際貢献」から「人手不足分野での人材育成・確保」へ転換
育成就労制度は、技能実習制度に代わり2027年4月1日から運用開始される新たな受入れ制度です。
従来の技能実習との最も根本的な違いは、制度が掲げる目的そのものにあります。
技能移転による国際貢献を目的とする技能実習制度を発展的に解消し、我が国の人手不足分野における人材の育成・確保を目的とする育成就労制度が創設されました
※制度の目的:「育成就労産業分野(育成就労制度の受入れ分野)において、我が国での3年間の就労を通じて特定技能1号水準の技能を有する人材を育成するとともに、当該分野における人材を確保すること」(出典: 出入国在留管理庁・厚生労働省「育成就労制度の概要(令和7年12月改訂)」)。
従来の技能実習制度は、建前上「日本の技術を途上国へ移転する国際貢献」を掲げていましたが、現実の現場では、人手不足を補う手段として活用されているという「名目と実態の乖離」が長年指摘されてきました。
その看板と実態を合致させ、人手不足対策として正式に位置付け直した点こそが、今回の制度改革の本質です。
3年間で「特定技能1号」の水準まで育成するキャリア設計
育成就労は、将来的に「特定技能」へとスムーズに繋げるように設計されています。
育成就労(原則3年間) — 就労を通じ、特定技能1号と同等水準の技能を修得する。
特定技能1号(通算5年間) — 技能試験および日本語試験に合格して移行する。
特定技能2号(在留期間の制限なし) — さらに上位の試験に合格して移行し、長期定着・家族帯同を可能にする。
なお、育成就労の受入れ時における要件は、就労開始までに「日本語能力A1相当以上の試験(日本語能力試験N5等)に合格すること」、または「同等以上の日本語講習を受講すること」と定められています。
新たに導入される4つの骨格
育成就労計画の認定制
外国人ごとに育成計画(期間3年以内。業務・技能・日本語能力の目標等を明記)を作成し、外国人育成就労機構の認定を受ける。監理支援機関の許可制
技能実習における「監理団体」に相当する役割。許可基準が大幅に厳格化され、従来の監理団体許可のままでは新事業を行えない。本人意向による転籍
一定の条件(勤続年数や技能・日本語要件等)を満たすことで認められる。二国間取決め(MOC)の必須化
原則として、日本政府と二国間取決めを締結した国からのみ受入れを行う。
「本人意向による転籍」の運用や「監理支援機関」への再許可手続きは、すでに技能実習を活用している事業者へ甚大な影響を与えます。
従来の技能実習との詳細な比較については、姉妹記事『育成就労と技能実習の違い』にて整理しておりますので、あわせてご参照ください。
育成就労はいつから始まるのか|施行までのスケジュール

新制度の施行日は2027年(令和9年)4月1日です。
これは将来の予測や予定ではなく、すでに政令により正式に決定・確定しています。施行期日を定める政令(政令第340号)の本文には、明確に以下の通り規定されています。
出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律の施行期日は、令和九年四月一日とする。
出典: 施行期日を定める政令(政令第340号)。
※2026年7月現在、施行期日の前倒しや延期といった動きは一切ありません。
ここで注意したいのが、Web上の誤情報です。
「2026年施行」と記載された記事が見受けられますが、これは法律公布時に「公布から3年以内に施行」と規定されていた頃の古い情報です。
また、「2025年12月1日公布の政令で確定した」という解説も散見されますが、政令の公布日は「2025年10月1日」(主務省令の公布は前日の9月30日)であり、こちらも誤りです。
これまでの経過と今後の確定ロードマップ
時期 | 出来事 |
|---|---|
2024年6月21日 | 改正法(令和6年法律第60号)公布 |
2025年3月11日 | 基本方針を閣議決定 |
2025年9月30日 | 主務省令 公布 |
2025年10月1日 | 施行期日を定める政令(政令第340号)公布 = 施行日が「2027年4月1日」に確定 |
2026年1月23日 | 分野別運用方針を閣議決定 = 対象17分野と受入れ見込数が確定 |
2026年4月15日 | 監理支援機関の許可に係る施行日前申請(事前申請)受付開始 |
2026年9月1日 | 育成就労計画の認定に係る施行日前申請(事前申請)受付開始 |
2027年4月1日 | 育成就労制度 施行 |
出典: 出入国在留管理庁・厚生労働省「育成就労制度の概要(令和7年12月改訂)」、出入国在留管理庁「育成就労制度」、同「施行日前申請」をもとに作成
企業にとっての真のスタート地点は「2026年9月1日」
今後、採用を検討する企業にとって最も直近で重要な日付が2026年9月1日です。
出入国在留管理庁は「令和8年9月1日から育成就労計画の認定に係る施行日前申請を外国人技能実習機構で受け付けることを予定している」と周知しています。
2027年4月1日の施行と同時に人材を受け入れるためには、事前の計画認定が不可欠となるためです。
申請受付は同機構の地方事務所・支所にて実施されます。
実務上、企業が留意すべきポイントが2点存在します。
9月1日に申請しても認定結果はすぐには交付されない
同機構の案内には「施行日前申請の結果は、令和9年4月1日以降、順次、郵送する予定」と明確に規定されています。
つまり、事前申請は「採用や渡航時期を前倒しするための手続き」ではありません。2026年7月現在、申請様式や記載例が未公表である
同機構が2026年2月に発行したリーフレットでは「2026年6月頃周知予定」とされていましたが、公式ページでは現在も「近日中に掲載予定です」との案内にとどまっています。
受付開始日は確定しているものの、書類の具体的なフォーマットが出揃っていません。だからこそ、今企業に求められるのは「様式が公表された段階ですぐに動ける社内環境づくり」なのです。
対象分野と受入れ見込数|育成就労(17分野)と特定技能(19分野)の違い
育成就労は17分野・特定技能は19分野|対象範囲は一致しない
2026年1月23日の閣議決定(分野別運用方針)により、対象分野が正式決定しました。ここで最も混同されやすい重要な事実を明記します。
育成就労の対象は17分野、特定技能の対象は19分野であり、両者の範囲は完全には一致しません。
政府資料には以下の通り注記がなされています。
特定産業分野は19分野、育成就労産業分野は17分野である(自動車運送業分野、航空分野は特定産業分野のみ。)
つまり、「自動車運送業」および「航空」の2分野については育成就労制度が存在しません。
制度の趣旨として「特定技能の受入れ対象分野であっても、国内での未経験者からの育成になじまない分野については育成就労の対象外とする」という方針が定められているためです。
これら2分野で外国人材を採用する場合は、育成就労を経ず、最初から「特定技能1号」で募集する必要があります。
なお、一部のメディアや資料で「特定技能は16分野」と記載されているケースが見られますが、これは2026年1月23日の閣議決定で「リネンサプライ」「物流倉庫」「資源循環」の3分野が新設・追加される前の古い情報です。情報の更新時期にご注意ください。
分野別の受入れ見込数
分野 | 育成就労の受入れ見込数 | 特定技能の受入れ見込数 |
|---|---|---|
介護 | 33,800人 | 126,900人 |
ビルクリーニング | 7,300人 | 32,200人 |
建設 | 123,500人 | 76,000人 |
造船・舶用工業 | 13,500人 | 23,400人 |
自動車整備 | 9,900人 | 9,400人 |
宿泊 | 5,200人 | 14,800人 |
自動車運送業 | 対象外 | 22,100人 |
農業 | 26,300人 | 73,300人 |
漁業 | 2,600人 | 14,800人 |
外食業 | 5,300人 | 50,000人 |
林業 | 500人 | 900人 |
木材産業 | 2,200人 | 4,500人 |
工業製品製造業 | 119,700人 | 199,500人 |
航空 | 対象外 | 4,900人 |
鉄道 | 1,100人 | 2,900人 |
飲食料品製造業 | 61,400人 | 133,500人 |
リネンサプライ | 3,400人 | 4,300人 |
物流倉庫 | 6,900人 | 11,400人 |
資源循環 | 3,600人 | 900人 |
合計 | 426,200人 | 805,700人 |
出典: 出入国在留管理庁・厚生労働省「分野別運用方針の主要な記載事項」(2026年1月23日閣議決定。令和11年3月末までの受入れ見込数)
総計123万人は「純増枠」ではなく法的な「上限」
「合計約123万人の枠へ拡大」という数字が取り沙汰されていますが、この数値は受入れの「絶対的な上限数」です。
出入国在留管理庁の『育成就労制度Q&A』Q20でも、この点が明確に提示されています。
この約123万人は受入れの上限となる1号特定技能外国人・育成就労外国人の分野ごとの受入れ見込数(受入れ上限数)を総計したものです。現在の在留者数に追加して受け入れる数ではありません。
公表資料によれば、1号特定技能外国人はすでに33万3,123人が在留しています(令和7年6月末時点)。
特定技能の枠「80万5,700人」は、この既存の在留者数を含めた天井値です。さらに特定技能の見込数自体、前回(令和6年3月)設定時の82万人から下方修正されています。
実態としては「外国人枠が広がった」のではなく、「特定技能枠を適正化しつつ、従来は総量規制のなかった技能実習の後継(育成就労)に厳格な上限枠が新設された」と解釈するのが正確です。
この上限値は形骸化されたものではなく、実際に枠に達した時点で法的効力を発揮します。
事実、特定技能1号の「外食業」分野では在留者が上限の5万人に達する見込みとなったため、2026年4月13日をもって新規受入れが原則停止されました。
「上限枠が存在し、枠が埋まれば自動的に新規申請がロックされる制度である」という前提に基づいて採用計画を設計する必要があります。
外食業の新規申請ロックに関してはなぜ外食業の特定技能は新規停止になったのか|上限枠の仕組みと今後に詳しく書かれています。
育成就労に向けて企業が今すべき準備

受入れ企業(育成就労実施者)に課される新規要件
育成就労で人材を受け入れる企業は、制度上「育成就労実施者」と定義されます。受入要件について出入国在留管理庁の『育成就労制度Q&A』Q40では、「技能実習制度の要件を引き継ぎつつ、以下の要件を新たに設けている」として次の項目を定めています。
過去1年以内に、自社または監理支援機関の責めに帰すべき事由による行方不明者を発生させていないこと
過去1年以内に、受け入れる業務と同種の業務に従事していた労働者を自己都合以外で離職させていないこと(会社都合解雇の禁止)
労働、社会保険および租税に関する法令を遵守していること
送出機関等から、社会通念を超える金銭・物品の供与や過剰な接待(キックバック等)を受けていないこと
雇用契約の締結にあたり、労働条件等の待遇説明を対面またはオンラインで直接行っていること
受入対象分野の「分野別協議会」に加入していること
これらは技能実習の基準と「置き換わる」のではなく、従来の要件に「上乗せ(追加)」されるものです。
2026年7月時点では、外食業、リネンサプライ、工業製品製造業、自動車整備、鉄道などの各分野で育成就労の分野別運用要領が順次公表・整備されています。
「過去1年」要件は今日の雇用判断が2027年に直結する
上記要件の中で最も実務上重要なのが、「過去1年以内」という時間軸の制限です。
例えば、外国人材に担当させようとしている業務と同じ職種の日本人従業員を2026年後半に会社都合で人員整理した場合、2027年春に育成就労を受け入れようとしても「過去1年以内の離職」要件に抵触し、申請が不許可となります。
つまり、育成就労の準備とは「2027年になってから始めるもの」ではありません。
申請様式が未公表の現時点でできる最も価値の高い準備は、自社の雇用環境や労務状況が新要件に合致しているかを今すぐ点検しておくことです。
今から着手できること
「過去1年」の離職・行方不明リスクの確認
自社で会社都合退職等がないか点検し、該当する場合は申請可能時期を逆算する。労働法・社会保険・税務のコンプライアンスチェック
未加入、未納、36協定等の不備がないか。
監理支援機関のチェックが入る前に自社で修正を完了させる。雇用契約時の直接・オンライン説明体制の構築
書契約書面の郵送手続きのみでは要件を満たさない。
母国語通訳を介した対面またはWeb面談のフローを策定する。該当する「分野別協議会」への加入状況確認
計画認定の必須条件となるため、未加入の場合は申請手続きを進める。公表された分野別運用要領の精読
自社分野の運用要領が出揃い次第、固有の上乗せ基準を確認する。
「要件の充足」はスタートライン|これからは「選ばれる企業」への脱却が必要
育成就労制度では、一定の要件(勤続年数・技能・日本語力)を満たすことで外国人本人による転籍(転職)が認められます。
これは原則転籍不可だった技能実習からの歴史的転換です。
この変化について、外国人採用の現場に長年携わってきた当社代表の岡本は以下のように指摘します。
いい会社しか人を取れなくなり、定着もしなくなる。
要件を満たすことは単なるスタートラインに過ぎず、その先で人材に選ばれ、長く働いてもらえるかは「職場の環境と待遇」にかかっています。
従来の技能実習のように「一度受け入れたら3年間は確実に在籍する」という前提は通用しません。
外国人材が定着する職場づくりのポイントについては、別稿外国人材が定着する会社の共通点|孤立を防ぐ「職場の外」の居場所づくりで整理しています。
どの国から受け入れられるのか|二国間取決め(MOC)の現在地
原則として「MOC締結国」からのみ受入れが可能
育成就労には、受入国の選定においても新たな制約が存在します。
制度概要には「原則として二国間取決め(MOC)を作成した国からのみ受入れを行う」と明確に提示されています。
MOC(Memorandum of Cooperation)とは、不当に高額な仲介手数料の徴収や悪質な送出機関の排除を目指し、日本と相手国政府の間で直接交わされる協定です。
技能実習にもMOCは存在しましたが、育成就労制度の開始に伴い、新たな基準のもとで全面的に作り直されます。
2026年7月時点でMOC締結完了は「タイ」「ウズベキスタン」「スリランカ」の3か国のみ
ここが、市場の多くの情報が見落としている最大の重要ポイントです。
外国人技能実習機構の公表する『外国政府認定送出機関一覧(育成就労制度)』によれば、2026年7月30日時点で新MOCの作成が完了しているのは「タイ(2026年6月2日作成)」と「ウズベキスタン(2026年6月29日作成)」と「スリランカ(2026年7月23日作成)」の3か国のみとなっています。
現在、事前申請用の暫定送出機関リストを提出している国は13か国(インドネシア、ウズベキスタン、カンボジア、タイ、ネパール、パキスタン、バングラデシュ、東ティモール、フィリピン、ベトナム、ラオス、タジキスタン、ブータン)存在します。
ここで極めて重要なのは、ベトナム、フィリピン、インドネシア、カンボジアといった技能実習の主要送出国も、現時点ではすべてMOC未作成であるという事実です。
これは特定の国が遅れているのではなく、制度全体が移行期にあることを意味します。
政府の工程表においても、MOCの交渉・署名は2027年4月の施行直前まで継続するプロセスとして組み込まれています。
なお、同機構の公表資料には以下の通り厳しい注記が掲載されています。
当該送出国との間で二国間取決めが作成に至らなかった場合には、当該送出機関が申請書に記載されたままの状態では監理支援機関の許可ができませんので、ご留意ください。
出典: 外国人技能実習機構「外国政府認定送出機関一覧(育成就労制度)」。
暫定リストはあくまで施行日前申請を進めるための救済措置であり、最終的に施行日までにMOCが締結されなければ、その国の送出機関を活用した採用計画は破綻するという法的なリスクを理解しておく必要があります。
送出国選定における現実的な3つの実務対応
ネパール人材に特化して事業を展開する当社の立場から、率直な現状をお伝えします。
当社としては「ネパールから育成就労で受け入れ可能です」と申し上げたいところですが、2026年7月時点でそれを明言することはできません。
ネパールのMOCは未作成であり、施行日までに確実に締結されるかを保証できる段階にないからです。そのうえで、企業の実務として提示できる選択肢は以下の3点です。
早期採用を希望する場合は「特定技能」でのアプローチを優先する育成就労の開始を待たずとも、「特定技能」であればネパール人材の豊富な採用・受入実績が存在します。
(具体的な手順は特定技能でネパール人材を採用する全手順|制度・書類・費用の実務ガイドおよびネパール人 採用の基本ガイド|在留資格・費用・フローを公的データで整理をご参照ください)。MOCの最新締結状況を随時モニタリングする
MOC締結は順次進行します。
機構の一覧は更新されるため、採用検討のタイミングで最新の告示情報を確認してください。国の選定より先に「受入企業の要件充足」を完了させる
相手国のMOC締結時期を自社でコントロールすることは不可能です。
しかし、自社が育成就労の受入要件を満たしているか否かはコントロールできます。「国の選定」よりも「自社の体制整備」を優先することが、最も失敗の少ないアプローチです。
紹介会社としては「ネパールで問題ありません」と言い切る方が短期的な受注には繋がります。
しかし、不確定な情勢のもとで無理な採用計画を提示しても、最終的に不利益を被るのはお客様である企業様です。
確かな事実と未確定なリスクを透明にお伝えすることこそが、長期的な信頼に繋がると当社は確信しております。
よくある質問(FAQ)
Q1. 技能実習制度は2027年4月に完全に無くなるのですか?
A. 制度としては「発展的に解消」されますが、既存の実習生が即座に働けなくなるわけではありません。
施行日より前に入国し、現に技能実習を行っている外国人については「経過措置」が適用されます。
そのため、一定の条件を満たせば技能実習のルールのまま実習を継続・修了することが可能です。
ただし、経過措置で技能実習を継続する者が途中で育成就労制度へ直接移行することはできません。
受入れ時期に応じた移行ルールの詳細は、姉妹記事『育成就労と技能実習の違い』をご確認ください。
Q2. 育成就労制度が正式に始まる2027年まで、外国人材の採用は待つべきですか?
A. 採用を控えて待つ必要はありません。むしろ今から動くべきです。
全面施行まで1年以上あり、かつ主要国のMOC締結状況も流動的です。施行後すぐに希望の国から育成就労で受け入れられる保証はありません。
むしろ、現在利用可能な「特定技能」などを活用して社内の受入れ体制・指導環境を整えておくこと自体が、そのまま将来の育成就労の要件を満たす準備になります。
「2027年まで様子見」を選んだ結果、直前になって「過去1年の離職要件」等に接触し、採用機会を逃してしまうリスクに注意してください。
まとめ
施行日は「2027年4月1日」で確定
政令で正式に決定されており、前倒しや延期の動きはない(2026年7月時点)。「2026年施行」や「2025年12月公布」とするネット情報は誤り。目的は「人手不足分野での人材育成・確保」へ転換
建前の「国際貢献」から実態に即した制度へ変更。
3年間の就労を通じて特定技能1号水準まで育成し、長期雇用へ繋げる設計。対象は「17分野」(特定技能の19分野とは異なる)
「自動車運送業」および「航空」の2分野は「国内での育成になじまない」として育成就労の対象外。受入れ見込数は育成就労42.6万人/特定技能80.5万人(計123.1万人)
この総計は追加の純増数ではなく、既存の在留者も含めた「法的な天井(上限)」。
上限に達した分野(外食業等)は新規受入れが停止される。直近の実務開始日は「2026年9月1日」
育成就労計画の事前申請が始まる。
申請様式が未公表の現段階では、「過去1年の労務環境」など自社の要件点検を優先すべきです。また育成就労のMOC締結国は現時点でタイ・ウズベキスタン・スリランカの3か国のみ。
次に読むべき記事:
今すべての詳細を理解しようとしなくても大丈夫です
ここまでお読みいただき、育成就労制度が「現時点では未確定な要素を多く残した制度である」という実態をお分かりいただけたかと思います。
優良な監理支援機関の認定基準、本人意向による転籍手続きの細部、転籍時の初期費用補填に関する告示、そして全17分野中12分野の運用要領は、2026年7月時点で公表されていません。
出入国在留管理庁の公式文書においても「詳細は決まり次第お示しします」「告示は今後制定予定です」という回答が数多く並んでいます。
現段階で制度の全貌を完璧に把握しようと焦る必要はありません。
むしろ、未確定な事項をあたかも「決定事項」のように断言する過剰な情報に対しては見極めが必要です。
そのうえで、すでに明確になっている事実——「施行日」「対象分野」「受入企業の必須要件」「2026年9月1日の事前申請開始」——を軸に、自社の状況へ落とし込んでいくことが重要です。
「自社の業種は17分野に含まれるか」「現時点で自社の労務環境は要件を満たせるか」「特定技能と育成就労のどちらを優先すべきか」。これらの解は各企業の経営状況や人員構成によって異なります。
上記4つの確定事項を自社に照らし合わせる中でご不明な点や判断に迷う部分が生じましたら、こちらのご相談窓口までご相談ください。
何をどこから質問すべきか分からない段階であっても、現状の整理から誠心誠意サポートさせていただきます。