外国人採用の相見積もりの取り方|複数社の見積書を1枚に揃える実務手順

外国人採用の相見積もりの取り方|複数社の見積書を1枚に揃える実務手順

外国人採用を検討して、紹介会社や登録支援機関から3社分の見積書を取り寄せたものの、並べてみると比較できない——。
これは外国人採用の相見積もりでよく起こる問題です。

A社は「初期費用 一式」と1行だけ、B社は15項目に細かく分かれ、C社は月額費用しか記載されていない。
総額は出ていても、何に対する費用なのか、誰が負担するのか、いつ支払うのかがそろっていなければ、高い・安いの判断はできません。

見積書を比較可能にするポイントは、各社の項目名をそのまま比べないことです。
「どの費目か」「誰が払うか」「いつ払うか」の3軸に組み替えれば、形式の違う見積書も同じ土俵に並べられます。

G-Star HR Linkは、静岡県浜松市を拠点にネパール人材の紹介と特定技能の受け入れ支援を行っています。
有料職業紹介事業(許可番号22-ユ-300884)と登録支援機関(登録番号25登-011561)の両方を担い、ネパール現地には自社の日本語学校とトレーニングセンターを運営しています。

見積書を出す側である一方、他社と比較される側でもあるからこそ、実際に比較する際に確認してほしいポイントを、提供する側の視点から具体的にお伝えします。

外国人採用の見積書が横に並べられない3つの理由

複数社の見積書を机に並べて比較する担当者

見積書が3枚あっても、比較できるとは限らない

相見積もりは、本来「同じ条件の仕事を、複数社に見積もってもらう」ことで成立します。

ところが外国人採用では、紹介会社や登録支援機関によって対応する業務範囲や費用の分け方が異なります。
そのため、見積書を3枚並べただけでは「どこが安いか」を判断できません。

A社の「一式」に含まれる業務が、B社では複数の明細として計上されていることもあります。
比較できない原因は、①費目の分け方、②誰が払うか、③いつ払うか、の3つです。

理由①:費目の分け方がそろわない

外国人採用では、紹介料、登録支援機関への支援費、在留資格申請に関する行政書士費用など、複数の費用が発生することがあります。
これらをまとめて「初期費用一式」とする会社もあれば、費目ごとに細かく分けて記載する会社もあります。
そのため、見積書の項目数だけでは高い・安いを判断できません。

「一式」が悪いわけでも、明細が多ければ良いわけでもありません。
大切なのは、一式に何が含まれているのかを確認し、各社で同じ条件にそろえて比較することです。
問題は、一式の中身を聞いても分解して答えてもらえない場合です。

どの機関に何を頼めるかの全体像は監理団体・登録支援機関・人材紹介会社の違い|どこに何を頼めるのかで整理しています。

理由②:誰が払うかが見積書だけでは分からない

外国人採用では、企業が支払う費用だけを見ていると、採用にかかる費用の全体像をつかめないことがあります。

たとえば、企業向けの見積書には、候補者本人が負担する費用や、現地側で発生する費用までは記載されていない場合があります。
そこで確認したいのが「この費用は誰が負担するのか」です。

特に有料職業紹介では、職業安定法施行規則第20条第3項が、手数料表について「手数料の額」と「手数料を負担すべき者」が明らかになる方法で作成するよう定めています。
つまり、費用の比較では金額だけでなく、企業・本人・その他のどの主体が負担する費用なのかまで確認することが重要です。

見積書に記載がない費用についても、「本人負担の費用はありますか」「現地で別途発生する費用はありますか」と確認しておきましょう。

理由③:いつ払うかがそろわない

3つ目は「いつ払うか」です。
入国前に一度だけ支払う費用と、受入れ後に毎月発生する費用では、同じ10万円でも意味が違います。

たとえば5年間受け入れる場合、月額費用の差は60か月分に積み上がります。
初期費用だけ、または1年目の総額だけを比べると、長期では結果が逆転することもあります。
比較する前に「1年」「5年」など対象期間を決め、初期費用と継続費用を合計して比べましょう。

採用から帰国までに企業が実際に払う費用の全体像は、外国人雇用にかかる本当のコスト|給与以外に必要な費用の全リストと総額にまとめています。

見積もりを依頼する前に、各社へ同じ前提条件を伝える

比較できる見積書は、依頼するときから始まっている

相見積もりが比較しにくくなる原因は、見積書を受け取る前にもあります。
A社には「製造業で3名」、B社には「特定技能で2名、住居はこちらで用意」と伝えれば、見積書の内容がそろわないのは当然です。
各社に同じ条件を伝え、同じ項目について見積もりを依頼しましょう。

相見積もりでおすすめする整理方法

前提条件シートに決まった様式があるわけではありません。
ここでは、G-Star HR Linkが実際に見積もりを比較するときにおすすめしている8項目を紹介します。

  • 希望する在留資格(決めきれない場合は「相談したい」と書く)

  • 従事させる業務の内容と、実際の作業を2〜3行で具体的に

  • 採用したい人数と、増員の予定の有無

  • 希望する入社時期(「◯月までに現場に入ってほしい」という形で)

  • 勤務地と通勤手段

  • 住居を会社で用意するのか、本人に探してもらうのか

  • 想定している月給・手当・寮費の負担区分

  • 支援や生活サポートのうち、自社でやれること/やってほしいこと

A4・1枚程度にまとめて各社へ同じ条件で渡せば、見積書を比較しやすくなります。
特に業務内容を具体的に伝えることで、在留資格や対象分野との適合性について、金額以外の確認事項も見えてきます。

見積書の様式を指定してもよい

さらに踏み込むなら、比較表を空欄のまま各社に渡し、「この形式で記入してください」と依頼する方法もあります。
受け取った見積書を後から組み替える手間を減らせるだけでなく、記入できない項目があれば、その理由も確認できます。

当社代表の岡本は、企業から細かく質問されることについて、「そこまでがっつり質問してくれる会社さんの方が、ちゃんと考えてる」と話しています。
見積もりの段階で質問することは、遠慮する必要はありません。
質問に丁寧に答えてくれるかどうかも、会社を比較する材料になります。

相見積もりで必ず揃える比較項目(比較表のテンプレート)

各社の項目名ではなく、3つの軸でそろえる

各社の見積書に書かれた項目名は、いったん脇に置きます。
比較するときにそろえるのは「費目」「誰が払うか」「いつ払うか」の3軸です。
下の表の左4列を共通項目として使い、右側にA社・B社・C社を並べて、該当する金額を書き込みます。

比較表テンプレート

費目

主な支払先

誰が払うか(制度上の考え方)

いつ払うか

紹介手数料

人材紹介会社

企業(求職者からの徴収は原則禁止)

入社時

現地での日本語教育・技能教育の費用

現地教育機関・送出機関

本人または企業(見積書の外にあることが多い)

入国前

送出機関への手数料

送出機関

本人(技能実習では額と内訳の合意が要件)

入国前

渡航費・査証関係費用

航空会社・大使館ほか

契約で定める(帰国旅費は特定技能で、本人が負担できないとき企業負担)

入国時・帰国時

在留資格の申請取次・書類作成

行政書士・支援機関

企業

入国前・更新時

支援計画の作成・事前ガイダンス等

登録支援機関

企業(本人への負担転嫁は不可)

入国前

月額の支援委託費

登録支援機関

企業(本人への負担転嫁は不可)

毎月

監理費(技能実習・育成就労の場合)

監理団体(監理支援機関)

企業

毎月

建設分野の上乗せ費目(JAC負担金・CCUS登録料ほか)

JAC・建設業振興基金

企業

入国前・毎月

通訳・翻訳費

支援機関または外部

企業

都度または月額に内包

空港送迎・住居確保・各種同行

支援機関

企業

入国時・随時

住居の初期費用(敷金・家具家電)

不動産会社ほか

契約で定める

入国前

在留期間更新の手数料・取次費用、各種届出の代行費

入管・支援機関

企業

更新時・四半期ごと・随時

帰国時の旅費・手続き対応

航空会社・支援機関

特定技能では本人が負担できないとき企業が負担

帰国時

出典: 費目の区分は筆者作成。「誰が払うか」は職業安定法第32条の3、特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令第1条・第2条に基づく。

なお、費用の負担者は制度上の規定だけでなく、契約内容や費目によって異なるため、各社の見積書で確認が必要です。

建設分野は上乗せ費目が続くため別枠で見てください。
内訳は建設業の特定技能の労務管理|CCUS一本化と月給制・受入計画の実務で扱っています。

金額が書かれていない項目こそ確認する

各社の金額を比較表に入れていくと、見積書に記載されていない費用が見つかります。
これは比較から外すのではなく、そのまま各社への確認事項にしましょう。

特に、通訳費、在留期間更新時の取次費用、届出の代行費、帰国時の対応費用は、採用時の見積書には記載されていないことがあります。
入社後に発生する可能性がある費用まで確認しておくことが、総額を比較するうえで重要です。

月額の支援委託費に何が含まれ何が含まれないかは、登録支援機関の費用相場|月額委託費の内訳と、安い見積書で起きることで内訳ごとに解説しています。

受入れ期間の総額にそろえて比較する

項目をそろえたら、最後に比較する期間も統一します。
月額費用だけでなく、紹介手数料や送出機関への費用などの初期費用も含め、受入れ期間全体の総額で比べることが重要です。

初期費用が安くても月額が高ければ、長期では総額が逆転することがあります。
転職などで受入れ期間が変わる可能性もあるため、総額はあくまで目安として考えましょう。

特定技能の費用の全体像は特定技能の採用費用の内訳|なぜ「外国人は安い」がもう通用しないのかを参照してください。

ネパール人材の採用、まずは現状をお聞かせください

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金額が同じでも中身には差がある

ネパール現地の日本語学校の教室で学ぶ候補者たち

見極めるべきは候補者だけでなく、教育の仕組み

比較表で各社の金額がほぼ同じになったら、次は「その費用で何をしているのか」を確認します。
特に差が出やすいのが、来日前の日本語教育や技能教育です。

「面接では日本語が通じたのに、入国後は職場での会話がうまくいかない」というケースはあります。
もちろん、原因は候補者本人だけとは限りません。
面接で想定される質問への受け答えを練習していれば、面接では十分に話せているように見える一方、実際の仕事で必要になる日本語とは求められる力が異なる場合があります。

G-Star HR Link代表の岡本は、こうした差を考えるとき、候補者だけでなく「その人をどのように教育してきたのか」を見ることが重要だと考えています。
日本語を身につけるには一定の学習時間が必要で、半年程度の学習だけで誰もが職場で十分に通用するとは限りません。

受入れ企業にも外国人材とのコミュニケーションへの準備は必要ですが、採用前に教育機関の実態を確認することも大切です。

相見積もりでは、「どこで、どのくらいの期間、どのような内容の日本語教育を受けていますか」と質問してみましょう。
金額だけでは見えない教育体制の違いを比較できます。

同じ「半年」でも、学習の形が違う

海外の日本語教育は、国や教育機関によって学び方が異なります。

岡本がベトナムで学校を立ち上げた際は全寮制で、朝から授業と自習を続ける集中的なスタイルでした。
一方、ネパールでは通学し、朝に3〜4時間学んでから仕事に行き、帰宅後に自習するケースもあります。

どちらが優れているという話ではありません。
同じ「6か月の教育」でも、学習時間や生活環境が異なれば、得られる経験も変わります。
教育費が同額でも、教育の中身まで同じとは限りません。

国ごとの違いは海外の日本語学校の実態|全寮制「軍隊形式」と通学制で人材はどう変わるかで扱っています。

支援を「誰が」実施するか

特定技能1号の義務的支援は登録支援機関に委託できますが、支援業務を別の会社へそのまま再委託することはできません。
見積書に「支援委託費 月額○万円」としか書かれていない場合は、事前ガイダンスや定期面談を誰が担当するのか確認しましょう。
支援責任者・支援担当者の人数と支援対象者数も聞けば、支援体制を比較しやすくなります。

自社実施と委託の比較は特定技能の支援は自社と委託のどちらを選ぶか|要件と工数で判断する、義務的支援10項目の内容は登録支援機関とは|義務的支援10項目・費用・選び方を登録支援機関が解説にまとめています。

通訳の体制と、トラブル時に誰が動くか

通訳は、見積書だけでは比較しにくい費目です。
月額料金に含まれるのか、都度請求なのか、対応言語は何か、夜間・休日にも対応できるのかを確認しましょう。
ネパール人材を採用する場合は、英語対応の有無だけでなく、ネパール語で相談できる体制があるかも確認しておきたいところです。

もう一つ確認したいのが、トラブル時に誰が動くのかです。
G-Star HR Link代表の岡本は、現地の教育機関について質問した際に「現地の学校のことだから」と切り離すのではなく、受入れ後まで関係者として対応する姿勢が重要だと考えています。

これはG-Star HR Linkの見解ですが、相見積もりでは、教育機関との役割分担や、問題発生時の対応者を確認する材料になります。

さらに、退職・解雇や帰国が必要になった場合に、どこまで支援してもらえるのかも事前に確認しましょう。
費用だけでなく、契約書などで役割と対応範囲まで確認することが大切です。

見積書から読み取れる危ない兆候

見積書の不自然な費目に気づく場面

兆候①:企業向けの金額だけが極端に安い

企業向けの金額が極端に安い場合、候補者側にどのような費用が発生しているのかも確認してみましょう。
詳しい確認方法はネパール人材紹介会社の選び方|現地視察・手数料・責任の4チェックポイントで解説しています。

相見積もりでは、各社に「候補者は来日までに、授業料を含めて合計いくら負担していますか」と聞いてみてください。
企業向けの見積書だけでは、候補者が現地で負担する費用まで分からないことがあるためです。

岡本は、学校を持つ紹介会社について、「企業から紹介料を受け取る一方で、本人から授業料を受け取る」という構造があり得ると指摘しています。
ただし、学校の有無だけで良し悪しを判断するのではなく、教育内容に対して適切な費用なのか、本人に過大な負担が生じていないかを見ることが重要です。

候補者が来日前にどの程度の費用を負担するのかは、来日後の生活設計にも関わります。
相見積もりでは企業側の金額だけでなく、本人側の負担額とその内訳まで、全社に同じ質問をして比較しましょう。

兆候②:募集の経路を聞くと答えが濁る

候補者をどのような経路で募集しているかも確認しましょう。
仲介事業者が複数入る場合、手数料が発生し、候補者の負担につながる可能性があります。

「募集はどのような経路ですか」「自社で募集する割合はどの程度ですか」と聞き、具体的な説明があるか確認しましょう。
技能実習では送出機関の選定も重要です。

監理支援機関の立場から送出機関を見る視点は、監理支援機関のための送出機関の選び方|認定・暫定リストとMOCの読み方に整理しています。

兆候③:保証金や違約金に触れる契約がある

これは単なる「気になる兆候」ではなく、制度上も明確に確認すべき事項です。
特定技能では、受入れ機関が、本人やその家族が保証金を徴収されていることや、違約金を定めた契約を結んでいることを認識したうえで雇用契約を締結することは認められていません。
また、受入れ機関自身も、本人やその家族との間でこうした契約を結んではならないとされています。

技能実習でも、技能実習生やその家族から保証金を徴収することや、違約金・損害賠償額を予定する契約について、法令上の規制があります。

そのため、見積書や契約書の案に「途中で退職したら本人が違約金を払う」といった条項があれば、必ず内容を確認してください。
ただし、これは企業側が負担する契約解除時の違約金条項とは別の問題です。
誰に、どのような条件で負担を求める条項なのかを確認しましょう。

契約が破綻した局面は技能実習生が失踪したときの対応|届出の期限と、その後の受入れへの影響にまとめています。

兆候④:「一式」の中身を説明してもらえない

「初期費用 一式○万円」という見積もり自体は珍しくありません。
確認したいのは、その中に何が含まれているかです。

「一式」の内訳や対象業務を尋ねても説明がない場合、他社との比較に必要な情報が不足しています。
同じ「一式」でも、会社によって含まれる費用や業務範囲は異なります。
金額だけで判断せず、中身まで確認しましょう。

兆候⑤:教育を聞いても面接の話しか返らない

「どのような教育をしていますか」と聞いて、面接での受け答えの練習ばかりなら、教育内容を詳しく確認しましょう。
面接対策だけでなく、実際の仕事や生活で使う日本語をどう学んでいるかが重要です。
学習時間、教材、試験の受験実績、講師の体制まで具体的に説明できるか確認しましょう。

手数料のルールを知っておく(職業安定法の手数料規制と、求職者からの手数料徴収)

有料職業紹介の手数料には2つの方式がある

紹介手数料は、事業者が自由に決められるわけではありません。
職業安定法第32条の3第1項は、職業紹介について手数料を受けることを原則として禁止し、例外として2つの方式を定めています。

1つは厚生労働省令で定める種類・額による「上限制手数料」、もう1つはあらかじめ届け出た手数料表に基づく「届出制手数料」です。
相見積もりでは、どちらの方式による手数料なのかも確認しましょう。

項目

上限制手数料

届出制手数料

根拠

職業安定法第32条の3第1項第1号

職業安定法第32条の3第1項第2号

金額の決め方

厚生労働省令(職業安定法施行規則別表)が種類と最高額を定める

事業者が手数料表を作り、厚生労働大臣に届け出る

主な上限

受付手数料は求人1件につき710円(免税事業者660円)。紹介手数料は支払われた賃金額の100分の11(免税事業者100分の10.3)が原則

省令による一律の最高額は定められていないが、届け出た手数料表に基づいて徴収する

手数料表の作成方法

—

役務の種類ごとに、手数料の額と負担すべき者が明らかとなる方法(施行規則第20条第3項)

行政の関与

省令で額が決まっている

不当な差別的取扱い等に当たるときは変更命令の対象(同第4項)

出典: 職業安定法第32条の3、職業安定法施行規則第20条・別表、令和8年10月1日から適用される職業紹介事業の業務運営要領

実務では、想定年収に一定の割合を掛けた成功報酬型の紹介手数料が設定されるケースがあります。
届出制手数料を採用する事業者であれば、その金額はあらかじめ届け出た手数料表に基づいています。
相見積もりでは、提示された紹介手数料だけでなく、どの手数料方式を採用しているのかも確認しましょう。

手数料表は見せてもらえる書類

相見積もりでは、見積書だけでなく手数料表も確認しましょう。

有料職業紹介事業者には、手数料表や返戻金制度に関する書面などを、事業所内への掲示やインターネットなど適切な方法で情報提供する義務があります。
また、手数料に関する事項は求人者・求職者への明示事項です。

「御社の手数料表を見せてください」は特別な要求ではありません。
見積額が手数料表のどの役務に対応するのかを確認すれば、「一式」の中身も比較しやすくなります。

返戻金制度も明示の対象

早期離職が起きたときに手数料の全部または一部を返す「返戻金制度」に関する事項も、施行規則第24条の5第1項第2号で明示すべき事項に挙げられています。
何か月以内の離職なら、いくら返るのかを必ず横並びで確認してください。
条件の差が総額の比較に効きます。

求職者からの手数料徴収は原則禁止

職業安定法第32条の3第2項は、有料職業紹介事業者による求職者からの手数料徴収を原則として禁止しています。

例外は、施行規則第20条第2項が定める芸能家、モデル、科学技術者、経営管理者、熟練技能者への紹介などに限られます。
特定技能・技能実習の候補者は、この例外には該当しません。

候補者負担がある場合は、「現地の学校の授業料」なのか「日本での職業紹介の対価」なのか、誰が何の対価として徴収するのかを切り分けて確認することが重要です。

支援委託費は、職業紹介の手数料とは別物

登録支援機関に支払う支援委託費は、職業紹介の対価ではなく、1号特定技能外国人への支援業務に要する費用です。
職業紹介の手数料とは別のものですが、支援費用を本人に負担させてよいわけではありません。

特定技能基準省令第2条第1項第8号は、1号特定技能外国人支援に要する費用を、直接または間接に本人に負担させないことを受入れ機関の基準としています。
運用要領では、登録支援機関への委託費もこの「支援に要する費用」に含まれると明記されています。

技能実習でも、取次送出機関や外国の準備機関が徴収する費用について、名目や額を技能実習生が十分に理解した上で合意していることが認定基準に含まれます。
本人が何に、いくら支払うのか説明できない紹介ルートは、費用の透明性という点でも注意が必要です。

よくある質問(FAQ)

Q1. 相見積もりは何社から取るのが適切ですか?

A.3社前後が一つの目安です。社数に決まりはありません。
重要なのは、全社に同じ条件を伝え、手数料や支援費、返戻金などを同じ項目で比較することです。

Q2. 総額がいちばん安い会社を選んではいけないのですか?

A.安いこと自体が問題なのではありません。
重要なのは、なぜ安いのかを説明できることです。
支援人数が多く効率化できている、通訳を内製しているなど、合理的な理由もあります。
一方、本人負担への付け替えや対応範囲の違いで安く見えている場合もあります。
見積書に含まれない費用や業務がないか、同じ条件で確認しましょう。

Q3. 「手数料表を見せてください」と言うのは失礼になりませんか?

A.失礼にはあたりません。
有料職業紹介事業者は、職業安定法施行規則第24条の5第4項に基づき、手数料表を掲示するなどして情報提供することが求められています。
求人企業が手数料や条件を確認するのは、見積もりを比較するうえでも自然なことです。

Q4. 紹介会社と登録支援機関を分けると安くなりますか?

A.安くなる場合もありますが、一概にはいえません。
分離すると窓口や引き継ぎが増えることもあります。
一体型と分離型を、紹介料・支援委託費などの総額と対応範囲をそろえて比較しましょう。

Q5. 現地の学校の授業料まで聞いてよいものでしょうか?

A.聞いて問題ありません。
候補者が来日前に負担する費用は、採用条件を比較するうえで確認しておきたい事項です。
企業の負担額だけでなく、本人負担の内容や金額も確認し、費用の全体像を把握しましょう。
静岡県内で紹介会社を探す場合の公的名簿での確認方法は、静岡県の外国人材紹介会社の選び方|公的名簿で自分で確かめる実務ガイドにまとめています。

まとめ

  • 見積書は「同じ条件」で比べる
    費目の細かさだけでなく、誰が、いつ払うのかまでそろえると比較しやすくなります。

  • 依頼前に8項目を統一する
    在留資格・業務・人数・時期などの前提条件シートを、全社に同じ内容で渡します。

  • 空欄は質問リストになる
    「費目/支払先/負担者/支払時期」に各社の金額を並べ、空欄も確認します。

  • 安さより中身を見る
    現地教育、支援体制、通訳、トラブル時の対応まで確認し、教育機関の内容も見ます。

  • 本人負担まで確認する
    手数料や返戻金制度の情報・明示事項を確認し、特定技能の支援費用を本人に負担させないことも押さえます。

次に読むべき記事:

見積書を並べたまま、決めきれずにいるなら

相見積もりは、どこかで「これ以上比べても分からない」という地点に来ます。
そこで大切なのは、さらに1社を増やすことではなく、いま手元にある見積書の空欄を一つずつ埋めることです。

この記事の比較表を印刷し、埋まらなかった項目に印をつけて、各社に同じ質問をしてみてください。
答え方そのものが、契約後の付き合い方を映します。

当社は見積書を出す側だからこそ、「比較される前提」で書類を作っています。
他社の見積書の読み方が分からない、この費目が何を指すのか判断できない、といったご相談も歓迎です。
当社への発注はひとまず脇に置いて構いませんので、お問い合わせからどうぞ。
浜松の拠点で、ネパール現地の学校の様子も含めてお話しできます。

本記事の制度に関する記述は、公表されている情報をもとに整理したものです。
最新の省令・運用要領については、必ず出入国在留管理庁等の公式情報をご確認ください。