建設業の外国人採用|特定技能の4つの上乗せ要件と、充足率67.2%の意味

建設業の外国人採用|特定技能の4つの上乗せ要件と、充足率67.2%の意味

職人の高齢化と若手不足により、5年後の人員計画に悩む建設経営者は少なくありません。

建設業就業者はピーク時の685万人(平成9年)から478万人(令和7年)へ急減し、55歳以上が36.6%を占める一方、29歳以下は11.9%にとどまります。

この背景から、外国人採用は「今期の人員計画の一部」へと変わりつつあります。


ただし、建設分野には一般ルールに加え、「4つの上乗せ要件」という独自の高い関門があります

  1. 建設業許可の取得

  2. 建設キャリアアップシステム(CCUS)登録

  3. 建設技能人材機構(JAC)への加入

  4. 建設特定技能受入計画の認定


4つの要件を満たして初めて、在留資格の申請へ進めます。

さらに、受入れ見込数に対する充足率は令和8年3月末速報値で67.2%と、19分野中3番目の高さです。
受入れを検討している企業は、「必要になってから準備する」のではなく、今のうちから体制整備を始めることが重要です。


この記事は、G-Star HR Link株式会社(静岡県浜松市)が、国土交通省・出入国在留管理庁・厚生労働省の一次資料をもとに、建設分野の特定技能制度をわかりやすく整理したものです。

当社はネパールに自社日本語学校とトレーニングセンターを運営し、技能実習・特定技能・高度人材の受入れを支援しています。本記事では制度全体の説明ではなく、建設分野で押さえておくべきポイントに絞って解説します。
制度の一般論は特定技能とはに譲り、本記事は建設分野だけの上乗せ部分に絞って書きます。

建設業で使える在留資格|特定技能1号・2号と、2027年に始まる育成就労

建設業で外国人材年間増加数を受け入れる主な在留資格は、特定技能1号・特定技能2号・技能実習(2027年4月から育成就労へ移行)の3つです。

それぞれ在留期間や要件、キャリアの位置づけが異なるため、自社の採用計画に合った制度選びが重要になります。

建設分野では、令和4年8月30日の閣議決定により、従事できる業務が「土木」「建築」「ライフライン・設備」の3区分に整理され、それぞれ対応する建設業許可の工事業が定められています。
区分は現場ではなく、外国人本人が実際に従事する業務内容で判断されるため、雇用契約書や業務内容を適切に整理しておくことが重要です。

建設分野の在留者の97.2%は技能実習ルート

令和7年12月末時点の建設分野における特定技能1号在留外国人は49,323人です。

このうち技能実習ルートが47,920人(97.2%)を占め、試験ルートは1,300人(2.6%)、検定ルートは103人(0.2%)にとどまります。

全分野平均が技能実習ルート54.2%、試験ルート45.7%であることを踏まえると、建設分野は極めて技能実習ルートへの依存度が高いことが分かります。

区分

人数

構成比

建設分野 合計

49,323人

 うち 土木

26,369人

53.5%

 うち 建築

19,593人

39.7%

 うち ライフライン・設備

3,361人

6.8%

 うち 技能実習ルート

47,920人

97.2%

 うち 試験ルート

1,300人

2.6%

 うち 検定ルート

103人

0.2%

出典: 出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数」(令和7年12月末現在)第5表・第8表より作成。構成比は当社算出

この偏りは、建設分野では海外で試験に合格した人材を直接採用するルートがまだ限定的であることを示しています。

現在も技能実習から特定技能へ移行する流れが主流であり、2027年4月に始まる育成就労制度は、建設分野の人材確保に大きく影響すると考えられます。
なお、国籍別ではベトナムが30,159人(61.1%)と全体の約6割を占めています。

特定技能2号は建設分野は分野別2位。半年で3倍以上に増加

特定技能2号は、在留期間の更新に上限がなく、要件を満たせば配偶者や子どもの帯同も認められる在留資格です。

令和7年12月末時点の2号在留外国人は全国で7,955人となり、このうち建設分野は1,799人(22.6%)で分野別2位を占めています。

さらに、令和7年6月末の561人から半年で220.7%増と急速に増加しており、建設分野では2号への移行が本格化し始めています。


ただし、2号へ移行するには、「建設分野特定技能2号評価試験」または所定の技能検定1級等への合格に加え、複数の建設技能者を指導しながら工程を管理する班長としての実務経験が必要です。

日本語能力も令和9年4月からB1相当以上が求められる予定で、5年経過すれば自動的に取得できる資格ではありません。
そのため、特定技能1号の採用段階から、将来を見据えた育成計画を進めることが重要です。

技能実習は2027年4月に育成就労へ。建設の転籍制限期間は2年

2027年4月から技能実習制度は育成就労制度へ移行します。

建設分野では、分野別運用方針により本人都合での転籍制限期間が2年と定められています。

これは、技能習得に時間を要することに加え、工期が長く、労働災害防止のための安全衛生教育にも一定期間が必要とされているためです。
詳細は育成就労の転籍ルールと人材流出リスクをご覧ください。

建設分野だけに求められる4つの追加要件|建設業許可・CCUS登録・JAC加入・受入計画認定

建設分野で必要になる4種類の申請書類が積み重なるイメージ

建設分野で特定技能外国人を受け入れるには、業種共通の要件に加え、国土交通大臣が定める告示(平成31年国土交通省告示第357号)に基づく建設分野独自の要件を満たさなければなりません。

実務上は、建設業許可の取得、CCUS(建設キャリアアップシステム)への登録、JAC(建設技能人材機構)への加入、建設特定技能受入計画の認定という4つの手続きが必要です。

いずれも在留資格申請前に準備が必要となるため、余裕を持って進めることが重要です。

関門

内容

主な費用(税込)

準備の目安

① 建設業許可

建設業法第3条第1項の許可。申請日前5年以内に同法に基づく監督処分を受けていないこと

未取得なら許可取得が先

② CCUS登録

受入企業と、受け入れる本人の両方を建設キャリアアップシステムに登録

事業者登録料6,000円〜(資本金別・5年ごと)/技能者登録料2,500円または4,900円/管理者ID 年11,400円

本人の技能者IDが受入報告に必要

③ JAC加入

JACの賛助会員になるか、JACの正会員である建設業者団体の会員になるかを選択

賛助会員 年会費24万円(正会員団体経由の場合の会費は団体ごとに異なる)/受入負担金 1号1人あたり月12,500円

団体によっては会員証の発行まで数か月〜半年。最優先で着手

④ 受入計画の認定

報酬予定額・安全・技能の修得計画等を記載した「建設特定技能受入計画」について国土交通大臣の認定を受ける

在留資格の審査と並行審査が可能

出典: 国土交通省「建設分野における外国人技能者の受入れ」同「建設特定技能受入計画のオンライン申請について」JAC「年会費と受入負担金」CCUS「利用料金」をもとに作成

②のCCUSは受入企業と本人の双方の登録が必要です。
就労開始後1か月以内の受入報告では本人の技能者IDの入力が必要なため、事前の登録を済ませておく必要があります。

最優先で着手したいのはJACへの加入

4つの追加要件の中でも、最も早く着手したいのがJACへの加入です。

国土交通省の申請手引きでは、建設特定技能受入計画の申請時にJACまたはJAC正会員団体の会員証の添付が必須とされており、加入申込書や受理票では代替できません。

また、団体によっては申込みから会員証の発行まで数か月から半年程度かかる場合があり、加入要件を満たさなければ入会できないケースもあると案内されています。

そのため、面接や採用が決まってから手続きを始めると、受入計画を申請できず採用スケジュールが遅れるおそれがあります。
JAC加入は採用活動に先行、または並行して進めるのが安全です。

なお、加入する団体のカテゴリーと外国人が従事する業務を一致させる必要はありません。

認定要件のうち、実務で最も確認したいのは報酬

建設特定技能受入計画の認定では、前述の4つの追加要件に加え、国土交通省告示で定められた受入企業の基準を満たす必要があります。主な認定要件は次のとおりです。

  • 同等の技能を有する日本人と同等額以上の報酬を安定的に支払い、技能の習熟に応じて昇給を行うこと

  • 賃金などの重要事項を所定の様式で、本人が理解できる言語により事前に説明すること

  • 受入れ後おおむね3〜6か月以内に、適正就労監理機関(FITS)の受入れ後講習を受講させること

  • 国やFITSによる巡回訪問等に協力すること(FITSは原則として全受入企業に年1回以上実施)

  • 受け入れる特定技能1号外国人の人数が、常勤職員数(技能実習生・育成就労外国人・特定技能1号外国人を除く)を超えないこと(優良な育成就労実施者たる特定技能所属機関を除く)

  • 雇用形態は直接雇用に限られること

出典: 国土交通省「建設分野における特定技能・育成就労に係る制度の運用に関する方針」


この中でも、実務で特に確認が必要なのが報酬の設定です。
国土交通省通知(国不国第654号)では、報酬をすべて月給制で支払うことを前提に、1か月当たりの所定内賃金を所定労働時間で割った時間額が、地域別最低賃金と全国加重平均額のいずれか高い額の1.1倍を下回る場合は、受入計画を認定しないとしています。


さらに注意したいのが、「所定内賃金」の考え方です。
通知では、時間外勤務手当(固定残業代を含む)、休日出勤手当、通勤手当、出張手当、皆勤手当は所定内賃金に含めないと明記されています。

つまり、残業代や各種手当を積み上げて基準を満たすことはできず、基本給を中心とした給与設計で判定されます。

昇給は「月額1,000円未満」では認定されない

建設分野では、報酬だけでなく昇給制度も受入計画の認定要件です。

国土交通省通知(国不国第654号)は、定期昇給またはこれに準ずる昇給を予定していない場合は認定しないとしたうえで、1年間で見込まれる1か月当たりの所定内賃金の上昇額が1,000円未満であれば、実質的な定期昇給とは認められないとしています。


昇給基準の設計では、CCUS(建設キャリアアップシステム)の活用が有効です。
通知では、資格取得や技能検定の合格、CCUSの能力評価のレベルアップに応じた昇給も認められています。

「どの技能を身につければ、どれだけ昇給するのか」を明確にしておくことで、認定審査の説明がしやすくなるだけでなく、外国人本人も将来のキャリアを描きやすくなります。
費用の相場感は特定技能の費用、支援体制の外注は登録支援機関とはをご覧ください。

ネパール人材の採用、まずは現状をお聞かせください

ネパール現地に自社の日本語学校・トレーニングセンターを持つ G-Star HR Link が、
貴社のご要望に合わせ、最適な在留資格とスケジュールを無料相談でご提案します。

30分の無料相談を申し込む →

数字で見る建設分野|在留51,055人、充足率67.2%から見る受入れ余力

足場を組む外国人技能者と日本人の職長

令和8年1月23日の閣議決定により、建設分野の特定技能1号の受入れ見込数は、令和6年度から令和10年度までの5年間で7万6,000人と定められました。

これは目標ではなく、分野別運用方針に基づく受入れの上限です。
令和8年3月末時点の在留者数は51,055人、充足率は67.2%となっており、上限に近づいた場合は国土交通大臣が法務大臣に対し、在留資格認定証明書の交付の一時停止を求めることがあります。

令和8年3月末の充足率は67.2%。建設分野は19分野中3番目の水準

では、建設分野の受入れ枠はどこまで埋まっているのでしょうか。
出入国在留管理庁の令和8年3月末速報値によると、建設分野の特定技能1号在留者は51,055人、充足率は67.2%、前年同月比の増加数は9,957人でした。

特定産業分野

受入れ見込数

在留者数

充足率

年間増加数

外食業

50,000人

47,714人

95.4%

16,498人

飲食料品製造業

133,500人

96,367人

72.2%

20,509人

建設

76,000人

51,055人

67.2%

9,957人

介護

126,900人

74,745人

58.9%

26,332人

農業

73,300人

39,950人

54.5%

9,438人

工業製品製造業

199,500人

59,038人

29.6%

12,962人

全分野 合計

805,700人

404,527人

50.2%

105,373人

出典: 出入国在留管理庁「特定技能1号の受入れ見込数及び在留者数について(令和8年3月末時点・速報値)」より抜粋。受入れ見込数は令和8年1月23日閣議決定。年間増加数は令和7年3月末在留者数との差

建設分野の充足率67.2%は、令和8年3月末速報値時点で外食業(95.4%)、飲食料品製造業(72.2%)に次ぐ19分野中3番目の高さです。

全分野平均の50.2%を大きく上回っており、建設分野は受入れ枠が埋まるペースが比較的早く進んでいる分野といえます。

外食業で実際に起きた受入れ停止から考える

受入れ枠の充足率が高まると、実際にどのようなことが起こるのでしょうか。

外食業分野では2026年3月27日に新規受入れの一時停止が公表され、同年4月13日以降は在留資格認定証明書の交付が停止されました。
2026年7月末時点で、19の特定産業分野のうち交付停止となっているのは外食業のみです。

詳しくは特定技能・外食業の新規受入れ停止で解説しています。


建設分野が直ちに同じ状況になるという意味ではありません。
しかし、受入れ見込数7万6,000人に対し、令和8年3月末時点の在留者数は51,055人で、残りは24,945人です。

年間増加数9,957人のペースが続くと仮定すると、単純計算では約2年半で受入れ見込数に達します

もちろん実際の交付停止は在留者数だけでなく交付見込みなども踏まえて判断されますが、「建設はいつでも採用できる」と考えて準備を先送りすることには一定のリスクがあるといえるでしょう。

募集段階で重要なのは「仕事内容を正確に伝えること」

現場事務所で作業内容を写真で説明する採用担当と応募者

受入れ要件を満たしていても、入社後すぐに離職してしまっては採用の成果につながりません。

建設業では、早期離職の原因は面接での質問よりも、募集段階で仕事内容をどこまで具体的に伝えられたかに左右されることが少なくありません。
求人票や面接では、次の4点をできるだけ数字で示すことが重要です。

  • 立ち時間:1日のうち立位や移動を伴う時間の目安

  • 扱う重量:資材や工具の一般的な重量と、1日に運搬する回数の目安

  • 屋外作業の割合:屋外作業が全体の何割を占めるか、雨天・強風時の対応

  • 夏場の暑さ:現場の暑さ、休憩方法、空調服や休憩設備の有無


特に夏場の暑さは、法令上も重要な項目です。

令和7年6月1日に施行された改正労働安全衛生規則では、WBGT28℃以上または気温31℃以上の環境で、連続1時間以上または1日4時間を超える作業が見込まれる場合、熱中症対策が事業者の義務となりました。

事業者には、体調不良者を報告する体制の整備に加え、作業離脱、身体冷却、医療機関への搬送などの対応手順をあらかじめ定め、労働者へ周知することが求められています。


外国人材を受け入れる場合は、これらの手順を本人が理解できる言語で説明しておくことも欠かせません。

制度を整えるだけでは十分ではなく、体調不良時に「誰へ、どのように報告すればよいか」まで理解して初めて機能します。

なお、令和7年の労働災害による死亡者数は全産業で700人、このうち建設業は214人と業種別で最多となっており、安全管理の重要性は年々高まっています。

属性ではなく、業務に必要な能力を確認する

建設業では体力が求められるため、「この人は現場で働けるだろうか」と確認したくなる場面があります。

しかし、出身地や民族などの属性を手がかりに判断することは認められていません。

職業安定法に基づく告示(平成11年労働省告示第141号)では、求人者が収集してはならない個人情報として、「人種、民族、社会的身分、門地、本籍、出生地その他社会的差別の原因となるおそれのある事項」を挙げています。

対象は紹介会社だけではなく、採用企業自身も含まれるため、「紹介会社に確認してもらう」といった方法でも認められません。
厚生労働省も、適性や能力に関係のない事項は、採否に反映する意図がなくても質問自体が影響を与え得るとしています。
体力や適性を確認したい場合は、属性ではなく、実際の業務内容や作業条件を示したうえで対応できるかを確認することが重要です。

確認したいこと

避けるべき聞き方

適切な聞き方(適性・能力の確認)

体力・作業適性

「何族ですか」「出身はどの地方ですか」

「屋外で1日6時間、20kg程度の資材を扱います。体力面で問題なく対応できますか」

暑さへの対応

「暑い国の出身だから大丈夫ですよね」

「7〜8月は現場の体感が35度を超える日もあります。1時間ごとに休憩を取りますが、継続して作業できそうですか」

高所作業の可否

「足場2層目(約4m)での作業があります。このような高所作業の経験はありますか」

生活面

「ご家族の職業は」「借金はいくらありますか」

選考に不要な事項は質問しない。生活面の相談は採用決定後の支援で対応する

日本語力

「日本語はどれくらい話せますか」など自己申告だけで判断する

「この安全指示を復唱してください」「この寸法を書き取ってください」

出典: 厚生労働省「公正な採用選考の基本」同「採用選考時に配慮すべき事項」平成11年労働省告示第141号をもとに作成


適切な質問が成り立つ前提は、募集段階で仕事内容を具体的に示していることです。

求人票に作業内容や扱う重量、屋外作業の割合、夏場の作業環境などを明記しておけば、応募者は仕事内容を理解したうえで応募できます。
結果として、面接で出身地や家族構成などの属性に踏み込む必要がなくなり、公正な採用選考にもつながります。

面接設計はネパール人材の面接で見るべきポイントにまとめています。

「もっと残業したい」に、建設業はどう応えるべきか

当社代表の岡本が外国人社員に「困っていることはありますか」と尋ねたところ、「もっと残業したいです」という答えが返ってきたことがあります。

日本人にはあまり聞かれない言葉ですが、母国の家族へ仕送りをしている外国人にとっては、収入を増やしたいという切実な希望です。


しかし、建設分野では「残業を増やして収入を上げる」という対応は簡単ではありません。

建設特定技能の報酬審査では月給制が前提となり、所定内賃金の判定から時間外勤務手当(残業代)は除外されます。

さらに、建設業には2024年4月から時間外労働の上限規制が適用されており、制度全体が残業に依存しない働き方を前提に設計されています。


そのため、企業が示すべきなのは残業時間ではなく、昇給の道筋です。
建設分野では「技能の習熟に応じた昇給」が受入要件となっており、CCUSの能力評価や資格取得に応じて「レベル2になれば月○円昇給」といった基準を採用時から示すことができます。

将来の収入見通しを具体的に伝えることは、外国人材の安心感や定着にもつながります。
実際、建設業の生産労働者の平均年間賃金は令和6年で443万円、令和7年の賃金上昇率は建設業4.9%と、全産業(非正規を除く)の3.5%を上回っており、昇給を提示しやすい環境が整っていることも建設業の強みといえるでしょう。出典:国土交通省、厚生労働省

よくある質問(FAQ)

Q1. 「月給制」とは、残業代を支払ってはいけないという意味ですか?

A.いいえ。時間外労働に対する割増賃金は、労働基準法に基づき支払う必要があります。

ここでいう月給制とは、建設特定技能の報酬審査における前提です。
報酬の下限は、時間外勤務手当や休日出勤手当、通勤手当などを除いた「所定内賃金」で判定されるため、残業代ではなく基本給の水準そのものが審査対象となります。

Q2.  元請から「建設特定技能受入計画認定証を見せてほしい」と言われました。なぜ必要なのですか?

A.建設現場では、元請が現場管理の責任を負うため、下請が受け入れている特定技能外国人の在留資格や従事内容、就労期間を確認する必要があります。

そのため、実務では「一号特定技能外国人建設現場入場届出書」に建設特定技能受入計画認定証を添えて提出する運用が行われています。
対象は特定技能1号のみで、永住者・定住者・技能実習生などには認定証はありません。
現場への入場手続きに備え、認定証はすぐ提出できるよう保管しておきましょう。

Q3.  ネパールから建設分野の人材を採用できますか?

A.制度上は可能です。
ただし、令和7年12月末時点で建設分野のネパール国籍の特定技能1号在留者は259人と全体の0.5%にとどまります。
建設分野は在留者の97.2%が技能実習ルートであり、ネパールは建設職種の送出し実績が比較的少ないためです。

現実的には、国内の技能実習修了者・特定技能人材の採用や、海外で評価試験に合格した人材の採用が中心となります。

当社はネパールに日本語学校とトレーニングセンターを運営しており、試験ルートによる人材育成から対応していますが、短期間に複数名の建設経験者を採用したい場合は、他の採用方法も含めてご提案しています。
国別の傾向差はネパールとベトナムの比較もご覧ください。

まとめ

  • 建設分野は4つの追加要件がある
    建設業許可、CCUS登録、JAC加入、建設特定技能受入計画の認定が必要で、雇用形態も直接雇用に限らる。

  • 最優先で着手すべきはJAC加入
    会員証がなければ受入計画を申請できず、団体によっては発行まで数か月から半年程度かかるため、採用活動と並行して進めることが重要。

  • 報酬は「基本給」と「昇給設計」が審査される
    報酬審査は月給制が前提で、時間外勤務手当などは下限判定に含まれない。昇給は年間の所定内賃金の上昇額が月額換算1,000円未満では認められず、CCUSの能力評価と連動した設計が有効。

  • 建設分野の受入れ枠は着実に埋まっている
    令和8年3月末時点の充足率は67.2%で19分野中3番目。受入れ枠には限りがあるため、「いつでも採用できる」と考えて準備を先送りするのは得策ではない。

  • 採用では属性ではなく業務で判断する
    立ち時間や扱う重量、屋外作業の割合、夏場の作業環境などを具体的に示し、応募者自身が仕事内容を理解したうえで応募できる環境を整えることが、採用後のミスマッチ防止につながる。


次に読むべき記事:

制度は複雑でも、進める順番が成否を分けます

要件が多く、「自社には難しい」と感じるかもしれません。

しかし、実務でつまずく原因の多くは制度そのものではなく、進める順番です。
JAC加入を後回しにしたり、CCUSで本人登録を忘れたり、手当込みの給与設計で認定が差し戻されたりと、事前に流れを整理しておけば防げるケースがほとんどです。

当社は人材紹介だけでなく、自社事業でも外国人スタッフを雇用しています「自社で受入れが可能か」「どこから準備すべきか」といった段階でも構いません。
お気軽にお問い合わせください。