
外国人材の年金、帰国後はどうなるのか――
健康保険に加入し、厚生年金の手続きも済ませた後、受入れ企業の総務担当者からよく出るのが、「この人が帰国したら、年金はどうなりますか」という質問です。
本人から「帰国後は8年分もらえると聞いた」と確認されるケースもあります。
ただし、2026年9月時点で、脱退一時金の支給上限は5年(60月)です。
5年から8年への引上げを含む改正法は成立・公布されていますが、施行日はまだ到来していません。
この記事では、厚生年金への加入義務、帰国時の脱退一時金、ネパールとの社会保障協定の有無まで、一次資料をもとに整理します。
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浜松を拠点に、外国人材の入社手続きから帰国時の相談まで支援しています。
日本とネパールの間には社会保障協定がないため、脱退一時金も企業が説明を求められやすい論点です。
外国人材を雇用する経営者・人事・総務、受入れ企業を支援する監理支援機関の担当者に向けて、制度と実務を整理します。
厚生年金の加入義務は国籍や在留資格で決まらない

加入義務は国籍や在留資格で決まらない
外国人でも、厚生年金の適用事業所に常用的に使用される70歳未満の人は、原則として被保険者となります。
日本年金機構は、厚生年金の被保険者について「国籍や性別、年金の受給の有無にかかわらず」と明記しています。
技能実習、特定技能、育成就労、技術・人文知識・国際業務など、在留資格だけで加入対象かどうかを決めるものではありません。
適用事業所に該当するか、本人が常用的に使用されているかなど、厚生年金の加入要件に沿って判断します。
「技能実習だから雇用ではない」という理解も誤りです。
日本年金機構は、雇用契約書の有無にかかわらず、適用事業所で働き、労務の対価として給与・賃金を受ける使用関係が常用的であることを「常用的に使用される」と説明しています。
試用期間中でも報酬が支払われれば使用関係が認められます。
特定技能・育成就労はフルタイムが基本。短時間雇用では別の判定が必要
パート・アルバイトなどは、週の所定労働時間と1か月の所定労働日数が、通常の労働者の4分の3以上なら厚生年金の加入対象です。
4分の3未満でも、特定適用事業所などで、週20時間以上、所定内賃金が月額8.8万円以上、学生ではない、という要件をすべて満たせば対象になります。
特定技能などでフルタイム勤務として雇用する場合は、この短時間労働者の判定よりも、通常の被保険者として加入要件を確認する場面が中心です。
一方、留学生のアルバイトや家族滞在の配偶者を短時間で雇用する場合は、勤務時間や学生該当性などの確認が必要です。
留学生の労働時間の制約については留学生の資格外活動許可と週28時間ルールで扱っています。
この制度も改正が進んでおり、8.8万円の賃金要件は2026年10月に撤廃予定、企業規模要件は10年をかけて段階的に縮小・撤廃されます。
時期 | 短時間労働者の社会保険適用が拡大される企業規模 |
|---|---|
現在 | 厚生年金保険の被保険者数51人以上の企業 |
2027年10月から | 36人以上の企業 |
2029年10月から | 21人以上の企業 |
2032年10月から | 11人以上の企業 |
2035年10月から | 10人以下の企業 |
出典: 日本年金機構「適用事業所と被保険者」、厚生労働省「社会保険の加入対象の拡大について」厚生労働省「年金制度改正の主な改正内容」(2025年6月20日公布の年金制度改正法。上記の時期を待たずとも労使合意に基づき加入することも可能とされています)。
社会保険に入れていないと、在留申請が止まる
守るべき理由は、法令遵守だけではありません。
社会保険の加入・納付状況は、特定技能外国人の在留諸申請でも確認されます。
出入国在留管理庁は、在留期間更新許可申請などで、社会保険料を納付していることを示す資料の提出を求めています。
日本年金機構にも「特定技能」に係る社会保険関係書類の交付制度があります。
企業側では、健康保険・厚生年金保険の適用事業所なら「社会保険料納入状況回答票」または保険料の領収証書の写しなどを用意します。
現在の定期届出でも、納付状況を確認する資料が求められています。
未加入や未納があれば、その理由や手続状況、完了見込みなどの説明を求められる場合があります。
「保険料が高いから来月から」という先送りは、後の在留申請で問題になる可能性があります。
社会保険は、採用後の労務管理だけでなく、在留手続にも関わる事項として管理しておくことが重要です。
出典:日本年金機構「「特定技能」にかかる社会保険関係書類の交付」
採用にかかる費用の全体像は外国人雇用にかかる本当のコスト|給与以外に必要な費用の全リストと総額で整理しています。
適格性を示す書類を出す機会は、その後も分野別協議会への加入、支援計画の作成、年1回の定期届出と繰り返し訪れます。
自社で回すか委託するかの判断は特定技能の支援は自社と委託のどちらを選ぶか、どの機関に何を頼めるのかは監理団体・登録支援機関・人材紹介会社の違いで扱っています。
健康保険の被扶養者に母国の家族を入れられるか
2020年4月から「国内居住要件」が追加された
「ネパールにいる両親を健康保険の扶養に入れたい」という相談があります。
2020年4月から、被扶養者には原則として日本国内に住所を有することが必要になりました。
海外在住者は、留学などの「海外特例」に該当する場合を除き、被扶養者として認定されません。
海外に住む家族にも例外がある|健康保険の「海外特例」5つ
健康保険の被扶養者は、原則として日本国内に住所を有する人が対象です。
ただし、海外に住んでいても「海外特例要件」に該当すれば、被扶養者として認定される場合があります。
海外特例要件 | 主な確認書類 |
|---|---|
外国において留学をする学生 | 査証(ビザ)、学生証、在学証明書、入学証明書等の写し |
外国に赴任する被保険者に同行する者 | 査証(ビザ)、海外赴任辞令、海外の公的機関が発行する居住証明書の写し |
観光、保養またはボランティア活動その他就労以外の目的で一時的に海外に渡航する者 | 査証(ビザ)、ボランティア派遣期間の証明、ボランティアの参加同意書等の写し |
被保険者が外国に赴任している間に当該被保険者との身分関係が生じた者であって、外国に赴任する被保険者に同行する者と同等と認められる者 | 出生や婚姻等を証明する書類等の写し |
上記のほか、渡航目的その他の事情を考慮して日本国内に生活の基礎があると認められる者 | 個別に判断 |
出典: 日本年金機構「従業員の家族が海外居住の場合の手続き」海外在住者については、「被扶養者現況申立書」に加え、身分関係・生計維持関係や海外特例に該当することを確認する書類が必要です。
そのため、ネパールに住み続けている両親を「日本で働く子どもの健康保険の扶養に入れる」というケースは、海外特例に該当するかを別途確認する必要があります。
単に「親だから」「仕送りしているから」だけで認定されるわけではありません。
一方、家族を日本に呼び寄せ、日本国内に住所を置いた場合は、国内居住要件を満たしたうえで、生計維持関係など通常の被扶養者認定要件を確認することになります。
ここで大切なのは、海外の家族を扶養にできない場合でも、「家族を支えていない」という意味ではないことです。
健康保険の被扶養者認定には、加入できる人の範囲について別のルールがある、と説明すると誤解が生じにくくなります。
送金と定着の関係はネパール人は本当に辞めにくいのか|送金責任と借金構造から考える定着で扱っています。
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脱退一時金は「5年」が上限。ただし請求期限は2年

誰が請求できるのか
脱退一時金は、日本国籍を持たない人が年金の加入資格を喪失して日本を出国した場合などに請求できる一時金です。
厚生年金保険では、次のすべてを満たす必要があります。
日本国籍を有していない
公的年金制度(厚生年金保険または国民年金)の被保険者でない
厚生年金保険(共済組合等を含む)の加入期間の合計が6月以上ある
老齢年金の受給資格期間(10年間)を満たしていない
障害厚生年金(障害手当金を含む)などの年金を受ける権利を有したことがない
日本国内に住所を有していない
最後に公的年金制度の被保険者資格を喪失した日から2年以上経過していない(資格喪失日に日本国内に住所を有していた場合は、同日後に初めて、日本国内に住所を有しなくなった日から2年以上経過していない)
請求期限は2年です。
一方、「5年(60か月)」は請求期限ではなく、2021年4月以降の対象期間について、脱退一時金の支給額計算に用いる加入月数の上限です。
退職・帰国時には、「60か月が上限」と「請求は2年以内」を分けて伝えることが重要です。
出典:日本年金機構「脱退一時金の制度」(2026年4月1日更新)
脱退一時金の上限は60か月|支給率は加入期間で決まる
厚生年金保険の脱退一時金は「被保険者であった期間の平均標準報酬額×支給率」で計算します。
支給率は、最終月の属する年の前年10月の保険料率(最終月が1~8月の場合は前々年10月)に2分の1を乗じ、加入期間に応じた「支給率計算に用いる数」を掛けて決まります。
2021年4月以降を最終月とする場合、この数の上限は60です。
被保険者であった期間 | 支給率計算に用いる数 | 支給率 |
|---|---|---|
6月以上12月未満 | 6 | 0.5 |
12月以上18月未満 | 12 | 1.1 |
18月以上24月未満 | 18 | 1.6 |
24月以上30月未満 | 24 | 2.2 |
30月以上36月未満 | 30 | 2.7 |
36月以上42月未満 | 36 | 3.3 |
42月以上48月未満 | 42 | 3.8 |
48月以上54月未満 | 48 | 4.4 |
54月以上60月未満 | 54 | 4.9 |
60月以上 | 60 | 5.5 |
出典: 日本年金機構「脱退一時金の制度」(2026年4月1日更新)。
最終月が2021年3月以前の場合は36月が上限です。
60月を超えて加入しても、支給率計算に用いる数は60を超えません。
なお、日本年金機構は2021年4月の上限引上げについて、特定技能1号の創設による最長5年の在留期間などを背景として説明しています。
また、国民年金と厚生年金の加入期間は、脱退一時金の判定上は合算されません。
たとえば国民年金4月+厚生年金4月でも、合計8月として請求することはできません。
脱退一時金を受け取ると、それ以前の加入期間はすべて消える
脱退一時金を受け取ると、請求以前の日本の年金加入期間はすべて年金加入期間ではなくなります。
支給額の計算は60か月が上限ですが、61か月以上加入していた場合も、60か月を超えた部分だけでなく、それ以前の全期間が対象です。
日本年金機構は、複数回の在留で加入期間が通算61か月以上になる人について、加入期間に応じた受給を希望する場合は、出国の都度請求が必要になる場合があると案内しています。
「技能実習3年+特定技能1号5年」は、この点を説明する具体例です。
出典:日本年金機構「脱退一時金を請求するにあたって、どのような点に注意すればよいですか」「外国人技能実習1号・2号の実習期間(合計3年間)が終了しました。一時帰国後に特定技能1号として再入国し、5年間在留する予定です。外国人技能実習1号・2号及び特定技能1号の合計8年間分の脱退一時金について、どのように請求すればよいでしょうか」
脱退一時金は転出届と再入国許可の扱いに注意
脱退一時金は、日本年金機構等が請求書を受理した日に日本国内に住所がある場合は請求できません。
市区町村に転出届を提出し、出国前に請求する場合も、請求書が転出(予定)日以降に日本年金機構等へ到達する必要があります。
再入国許可・みなし再入国許可で出国する場合も、転出届を提出していれば請求できますが、提出せずに出国すると、再入国許可の有効期間が経過するまで国民年金の被保険者とされ、請求できません。
請求書はネパール語を含む14言語に対応しています。
出典:日本年金機構「脱退一時金を請求するにあたって、どのような点に注意すればよいですか。」
8年への引上げは決まっているが、まだ施行されていない
「8年になる」と「いま8年分もらえる」は別の話
厚生労働省の「年金制度改正の主な改正内容」では、脱退一時金について「支給上限を現行の5年から8年に引き上げる」と明記されています。
また、再入国許可付きで出国した外国人への支給も見直されます。
論点 | 現行(2026年9月時点で有効) | 改正後(施行日未定) |
|---|---|---|
支給額計算に用いる月数の上限 | 60月(5年)※2021年4月以降に加入期間がある場合 | 8年に引上げ |
再入国許可を受けて出国した場合 | 転出届を提出していれば請求できる(提出していなければ、許可の有効期間が経過するまで国民年金の被保険者とされ請求できない) | 再入国許可付きで出国した場合、許可の有効期間内は支給しない |
施行時期 | — | 公布(2025年6月20日)から4年以内の政令で定める日 |
出典: 厚生労働省「年金制度改正の主な改正内容」、日本年金機構「脱退一時金の制度」、日本年金機構「年金Q&A(脱退一時金を請求するにあたって、どのような点に注意すればよいですか)」(2026年9月時点で確認)。
改正後の再入国許可の扱いは、上限の引上げとは別の見直しです。
厚労省資料では、再入国しないまま許可の有効期間を経過した場合には、脱退一時金を受給できるとされています。
2026年9月時点では、日本年金機構の現行制度が60か月を上限としているため、外国人材への説明も「現在は5年、将来8年に変更予定」と分けて行う必要があります。
再入国許可の見直しは、上限引上げとセットで見る
脱退一時金の改正は、支給上限を5年から8年に延ばすだけではありません。
再入国許可・みなし再入国許可を利用して出国した場合、改正後はその許可の有効期間内は脱退一時金が支給されない仕組みになります。
現行制度では、転出届を提出して出国すれば請求できるため、一時帰国時に請求する方法もありますが、施行後はこの運用ができなくなります。
上限引上げだけでなく、再入国時の扱いも合わせて確認する必要があります。
いま企業が説明できること、できないこと
制度の過渡期に企業ができるのは、確定したことと未確定のことを分けて伝えることです。
いま帰国する場合、脱退一時金の計算上限は5年(60か月)。これは現行ルールです。
8年への引上げは法律で決まりましたが、施行日は未定です。公布から4年以内に政令で定める日から施行されます。
施行後は、再入国許可付きで出国した場合の支給要件も変わるため、一時帰国時の扱いは現在と異なる可能性があります。
「来年から8年」と断定せず、「施行日はまだ決まっていません」と伝えることが、制度説明の正確さと信頼を守ります。
ネパールとは社会保障協定がない

社会保障協定が解決するのは、主に2つの問題
保険料の二重負担:一定の派遣期間であれば、原則として一方の国の制度だけに加入します。
年金加入期間の不足:両国の加入期間を通算し、受給資格を確保します。
協定がある国では、加入期間を合算して最低加入期間を満たせば、それぞれの国から加入期間に応じた年金を受け取れます。
日本の老齢年金は受給資格期間が10年以上なので、たとえば日本5年+相手国5年を通算できるかは大きな違いです。
ただし、2026年9月現在、日本とネパールの間に社会保障協定はありません。
発効しているのは24か国。ネパールは入っていない
日本年金機構の一覧では、2026年9月時点で発効しているのは以下の24か国です。
対象となる制度 | 協定が発効している国(発効時期) |
|---|---|
保険料の二重負担防止+年金加入期間の通算 | ドイツ(2000年2月)、アメリカ(2005年10月)、ベルギー(2007年1月)、フランス(2007年6月)、カナダ(2008年3月)、オーストラリア(2009年1月)、オランダ(2009年3月)、チェコ(2009年6月)、スペイン(2010年12月)、アイルランド(2010年12月)、ブラジル(2012年3月)、スイス(2012年3月)、ハンガリー(2014年1月)、インド(2016年10月)、ルクセンブルク(2017年8月)、フィリピン(2018年8月)、スロバキア(2019年7月)、フィンランド(2022年2月)、スウェーデン(2022年6月)、オーストリア(2025年12月) |
保険料の二重負担防止のみ | 英国(2001年2月)、韓国(2005年4月)、中国(2019年9月)、イタリア(2024年4月) |
出典: 日本年金機構「協定を結んでいる国との協定発効時期および対象となる社会保障制度」(2026年9月時点で確認。同ページに署名済み・未発効の国の記載は見当たりませんでした)。
この一覧にネパールは含まれていません。
フィリピン・インドは保険期間の通算まで対象、中国は二重負担防止のみ、ベトナムとネパールは発効した協定がありません。
ネパールは30万992人で在留外国人の第5位ですが、社会保障協定は発効していません。
出典:出入国在留管理庁「令和7年末現在における在留外国人数について」
協定がないと、脱退一時金が重要な選択肢になる
日本とネパールの間には社会保障協定がないため、日本とネパールの年金加入期間を通算することはできません。
日本の老齢年金は受給資格期間が10年以上必要で、これを満たさず帰国する場合、一定の要件を満たせば脱退一時金を請求できます。
だからこそ、ネパール人材を受け入れる企業にとって、脱退一時金は「本人が調べる話」で終わらせず、退職時に案内しておきたい項目です(詳しくはネパール人とベトナム人の採用比較|構造の変化から考える国の選び方で扱っています)。
技能実習3年+特定技能5年なら、現行制度では2回に分けて請求
ネパール人材でよくあるのが、技能実習から特定技能1号へ移行するキャリアです。
日本年金機構は、技能実習1号・2号の3年間を終えて一時帰国し、その後、特定技能1号で5年間在留するケースについて、各在留期間の終了後に脱退一時金を請求することで、それぞれの加入期間に応じた支給を受けられると案内しています。
現行制度では計算上限が60か月なので、8年間を最後にまとめて請求すると、60か月を超える期間は計算されません。
さらに、脱退一時金を受け取ると、請求前の日本の年金加入期間はすべてなくなります。
つまり、3年分を含めて最後に請求すると、その3年分を脱退一時金として受け取れなくなる可能性があります。
今後、上限が8年に引き上げられれば、このケースで2回に分けて請求する必要性は変わります。
ただし施行日は未定で、再入国許可を受けて出国した場合の扱いも改正されるため、将来の運用は現時点では断定できません。
移行の全体像は育成就労から特定技能へ|移行要件はA2.2相当、3年で育てる採用設計をご覧ください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 本人が「保険料が高いので加入したくない」と言っています。同意があれば外せますか。
A.外すことはできません。
適用事業所に常用的に使用される70歳未満の人は、国籍にかかわらず厚生年金の被保険者となり、本人の同意で加入を選べる制度ではありません。
特定技能の在留諸申請では、社会保険料の納付状況を確認できる書類の提出が必要です。
本人には手取りだけでなく、帰国時に一定の要件を満たせば脱退一時金を請求できることも説明するとよいでしょう。
Q2. 脱退一時金の上限が8年になるのは、いつからですか。
A.2026年9月時点では、施行日は決まっていません。
厚生労働省は、脱退一時金の見直しを「公布から4年以内の政令で定める日」から施行するとしています。
公布日は2025年6月20日のため、遅くとも2029年6月20日までに施行される仕組みです。
現在の上限は60か月(5年)で、「2026年4月から8年」という一次資料は確認できません。
Q3. 退職して帰国する社員に、企業として何を渡しておけばよいですか。
A.脱退一時金の請求には、パスポートの写し、受取先金融機関を確認できる書類、基礎年金番号を確認できる書類などが必要です。
転出届を出した場合は、住所がないことを確認する書類は原則不要です。
特に基礎年金番号が分かる書類は退職時に本人へ確実に渡しましょう。
あわせて、転出届と請求期限(出国後2年以内)も伝えておくと安心です。
Q4. 健康保険料・厚生年金保険料を給与からどう控除すればよいのかがわかりません。
A.給与からの具体的な控除額や控除時期、端数処理などは、給与計算の実務に関する論点です。
控除の仕方や居住者・非居住者の判定、年末調整は外国人材の給与計算で間違えやすい6点|令和8年の年末調整の変更点、残業と割増賃金・賃金水準の設計は「もっと残業したい」と言われたら|外国人材の給与設計と36協定の線引きをご覧ください。
まとめ
社会保険の加入義務は国籍で変わらない
特定技能・育成就労も、要件を満たせば加入対象です。納付状況は在留手続きにも関係する
特定技能の在留諸申請では確認書類が求められ、未納は手続きに影響することがあります。母国に住む家族は、原則として被扶養者にならない
2020年4月から国内居住要件が設けられています。脱退一時金の上限は現在60か月
8年への引上げは決まっていますが、施行日は未定です。技能実習3年+特定技能5年は、現行制度では2回請求する
日本年金機構も、それぞれの在留期間終了後に分けて請求するよう案内しています。
次に読むべき記事
制度の話を、現場の言葉に翻訳するところまでが実務
社会保険は、正しい制度を知っているだけでは十分ではありません。
上限は5年なのか8年なのか、いつ変わるのか、家族を扶養に入れられるのか。本人が知りたいのは条文ではなく、「自分の場合はどうなるのか」です。
その内容を、本人が理解できる言葉や言語に置き換えて伝えるところまでが、受け入れ企業と支援機関の実務だと考えています。
帰国時期が近づいた、退職面談で何を伝えるか整理したい、受け入れ前に労務面を点検したい。
そうしたご相談を、浜松の拠点でお受けしています。
遠慮なくお問い合わせからお声がけください。
制度が変わる時期は、古い情報と新しい情報が混在しやすいものです。
本記事も公表情報をもとに整理していますが、最新の省令・運用要領については、出入国在留管理庁や日本年金機構などの公式情報をご確認ください。